
AERAが創刊した1988年。その「時代」を映す表紙に登場した人たちは誰なのか。その中で最も印象に残る表紙について読者たちに聞いた。AERA 2025年7月21日号より(一部加筆)。
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1988年──。日本はバブル景気のただ中にあり、「昭和」の終わりが近づいていた。世界では、ソ連の政治改革ペレストロイカが進み、ソウル五輪が開かれた。
そんな年の5月24日、AERAは創刊した(創刊号が5月24日号)。創刊号の表紙に登場したのは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進さんだ。AERAの表紙は「時代」を映すと評されており、表紙を見ればどんな時代かがわかる。当時のフォトグラファーは坂田栄一郎さんだった。
■生まれる前だった
創刊日を記念して、創刊年に発行した全32号のうち、どの表紙が「最もスゴイ!」と思ったか、「AERA表紙総選挙」と題し、AERA DIGITALの会員「AERAメンバーズ」に聞いた。
最も票を集めたのが、8月16日号に登場した歌手の忌野清志郎さんだ。光の中に浮かぶレジェンドシンガーの姿は、見た人の心に深く刻まれる。「友達が忌野清志郎さんを大好きで、ドライブしながら歌を大音量で聴いていたことが懐かしい!」(東京都、40代)、「清志郎さん若い!」(東京都、50代女性)など、当時を思い出し、自らの過去にも思いをはせる人が多かった。

続いて注目されたのが、演出家の蜷川幸雄さん。AERAで現在、表紙フォトグラファーを務める蜷川実花さんの父で、この“親子リレー”とも言える現象からも歴史の流れを感じる。真っ赤なセットの穴から上半身を出している斬新な表紙だ。掲載されたのは「まだ生まれる前だった」という都内の30代男性は、「すべてじっくり見た中で、6月7日号の蜷川さんの、顔つき、色づかい、ポジションが強烈で目にこびりつきました」と感想を書いた。