写真はイメージです(写真:Getty Images)
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 児童を盗撮した画像や動画をSNS上で共有していた教員グループのうち2人の男性教員が逮捕・基礎された事件は世間に衝撃を与えた。「学校は安全」という常識はもはや通じない時代になりつつある。どう子どもたちを守ればいいのか。AERA 2025年7月28日号より。

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 6月24日、愛知県警に逮捕されたのは、いずれも小学校教諭で名古屋市の森山勇二(42)と、横浜市の小瀬村史也(37)の両容疑者。秘匿性の高いアプリを使い、約10人の教員らによるSNS上のグループで画像や動画を共有した疑いが持たれている。

 学校に溶け込んでいる加害者。その姿はときどき目に見える形であらわれる。

 東京都内で働く女性は、自身が小学生の頃、ある年配の男性教諭にときどき「印刷のお手伝い」を頼まれていた。狭い印刷室で2人きり。作業が終わると毎回、「ありがとう」と言われつつ、後ろから抱きつかれ胸のあたりをこちょこちょと触られた。

「いつもなんだか変だな、嫌だな、とモヤモヤしていました。いま思えば、あれは性的ないたずらです。でも当時は誰にもうまく伝えられなかった」と話す。

 別の会社員女性(44)も「そういえば」と言ってから、「小学生の頃、ある男性教師がプールの授業前に女子児童が着替えている教室の前にいつもやってきて、にやにやしながらこちらを見ていたけれど、具体的に訴えたことはありません。気持ち悪いな、と思いながら、なんとなくそのままにしていました」と振り返る。

違和感を言葉にする

 教育分野に詳しいジャーナリストの宮本さおりさんは、約10年前、娘の小学校の担任だった男性教師が児童ポルノ法違反で逮捕された経験がある。この男性教師は当時30代。「普段はシャキシャキした元気で明るい先生。そんな性的嗜好は全く感じなかった」と振り返る。

 宮本さんは実感を込めて、こう指摘する。

「被害を防ぐために、性的嗜好に問題がある教員に研修したところで改善できないし、事前に洗い出すこともできないでしょう」

 相次ぐ教員によるわいせつ事案を前に無力感に襲われてしまうが、「学校は危険な場所」だと認識し、自分の身は自分で守ることが大切になっている。

「子どもたち自身が違和感をきちんと言葉にできるようにしておくことが大切です。だからこそ、子どもたちに、プライベートパーツは他人に勝手に見せたり触らせたりしてはいけない大切な場所であることを教えておく。そして、ちょっとしたことでも変だな、嫌だなと思ったことは口にしていいことも伝えておくことが大切です」(宮本さん)

(AERA編集部・古田真梨子)

AERA 2025年7月28日号より抜粋

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