
「本屋さんでたまたま見つけたのが、西﨑さんの本でした。片づけをする時間がなくても、知識だけは頭に入れることができていたんですね」
時間に余裕ができて、片づけようとしたときにSNSで“家庭力アッププロジェクト®”の案内を見つけました。これも何かの縁だろうと、参加を決意します。
「プロジェクトの説明を聞いていると、知識としてあったものが言葉になって改めて腑に落ちた感じがしました。今までわかった気になって自己流で片づけていましたが、リバウンドをくり返していたということは間違っていたんですよね」
小さな頃から片づけに苦手意識があった彼女は、プロジェクトを利用して片づけることによって“自分を導いてくれる存在がいる”ということに安心感を覚えました。
片づけを進める中で、モノが増える一因がわかってきました。彼女は義母から日常的に使わなくなったモノを預かっていたのです。
「思い出の品とか、遠くに住んでいる親戚が戻ってきたときに渡したいモノとか、『ちょっと預かってくれない?』と頼まれることが多くて。私も軽く引き受けてしまっていましたが、片づけていく中でけっこう自分の負担になっていることがわかりました」
介護生活で自分のことを後回しにする癖ができてしまい、自分さえ我慢すればいいと思っていましたが、それはよくないと気づきます。思い切って、今まであまり相談することのなかった夫の姉に話をすると、親身になって話を聞いてくれました。
「『そうだったの? 処分しちゃっていいよ』と言ってくれたり、気が楽になりました。勝手に処分するのは悪かったので、義母に預かっているモノの話をすると『そんなモノあったっけ?』と忘れていて……。ちゃんと話をすればよかったんだと思いました」
それから義姉とはほかのことも気軽に相談できるようになり、義母のモノの問題も解決。家の中はスッキリしてきました。
親戚との関係だけではありません。子どもたちとの関係も、片づけを通して変わりました。
「私、子どものモノは親に捨てる権利があると思って勝手に捨てたことがあります。でも、今回はプロジェクトで教わったように、子どもと一緒に片づけたんです。そしたら、当然ですが、子どもたちと私のモノの価値観は違いました。前は必要なモノも捨ててしまったなぁって。子どもたちの“いる・いらない”の判断を待っていれば、自分たちで手放してくれるんですね」