
勝間和代さんの「人生を幸せにするお金のレシピ」第10回。※本記事は「AERA Money 2025夏号」の勝間和代さん執筆による連載原稿です
【画像】「もう人間関係で消耗しない」ためのスキル大全はこれ!
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さまざまなモノの値段が上がっています。
欲しいものすべてを買うわけにもいきませんから、取捨選択が必要になります。
「どこにお金をかけるか」「どこを節約するか」、悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
私がお勧めしたいのは、お金を使う場合の考え方を少し変えることです。
非常にシンプルな考え方でして、「モノや形のあるもの」ではなく、「そこから得られる体験」に対してお金を払うイメージを常に持つことが大切です。
体験にお金を払う
掃除機を買う場合で考えてみましょう。
私たちは掃除機そのものにお金を払っているのではなく、「掃除機によってきれいになる家(の状態)が気持ちいいという体験」にお金を払っています。
そういう視点で考えると、どんなに高性能な掃除機でも使い勝手が悪いものは意味がありません。
使いにくければ使う頻度が下がり、「きれいになった家が気持ちいいという体験」が減るからです。
よって掃除機を買うときは、自分にとってどんな掃除機であれば気軽に日常的に使えるかを考えていくと、掃除機にいくらかけるか、というお金の使い方が見えてきます。
その観点から私が買ったのは、7000円くらいで軽量な掃除機です。
充電タイプではなく、約6メートルのコード式を選びました。結局、それが一番気軽に使えるうえ、ホコリをよく吸うからです。
コードレスが人気ですが、コード式のほうが明らかに吸引力が強く、サッときれいになります。
また、私は「充電の手間」「充電池のへたり」も気になります。軽くてコードが長い掃除機を選べば、部屋を移るたびにコンセントを差し直す手間もなく、かえってラクだと考えました。
この買い物は正解で、掃除が苦にならず、きれいな家を保つことができています。
体験といえば旅行です。
先日、私は2週間ほど中南米に行ってきましたが、いいお金の使い方だったと思っています。友人とその娘さん2人と私の4人でペルーやボリビアを周りました。
マチュピチュ(古代インカ帝国の遺跡)や、アンデス山脈に囲まれたウユニ塩湖にも行きましたが、そこに「行ったことそのもの」よりも、マチュピチュのそばのワイナピチュという山に登ったときの大変だった体験や、ウユニ塩湖でドローンを飛ばして気持ちのいい写真を撮った体験が強く心に残っています。
標高4000メートル近い複数の町に1週間ほど滞在したので、とにかく息苦しかったのも新鮮でした。少し動くとあっという間に息が切れるという体験は、実際に行かないとわからないものです。
