テンプル大学ジャパンキャンパスや付属校が、キャンパス内に集まっている昭和女子大学(撮影/井上有紀子)
テンプル大学ジャパンキャンパスや付属校が、キャンパス内に集まっている昭和女子大学(撮影/井上有紀子)

 こうしたやりとりを経て、今年、国際学部に新学科が誕生した。

「高度な英語力を生かして留学を目指す学生に加え、近年は日本文化や観光学を学び、インバウンド産業など国際的な分野でのキャリアを志す学生が増えたことで、なんとかしなければと話し合いました」(川畑教授)

 英語学習を深めたい学生もいれば、インバウンドビジネスに関わりたい学生もいる。新しい科目を作って対応してきたが、本気でニーズに応えるために、“入り口”から変えられないか。今年、英語コミュニケーション学科を国際教養学科と国際日本学科に分けた。学科のカラーを分ければ、よりポイントを絞った指導ができるというわけだ。

テンプル大学を構内に誘致

 近年、大学は国際化にかじを切ったことで、学生たちの“出口”も変わったという。19年に、テンプル大学のジャパンキャンパスを構内に誘致することに成功した。三軒茶屋にいながら、テンプル大学に留学できるようになった。また、昭和女子大で2.5~3年間学び、海外の提携大学に2年間留学して、両校の学位を取得する「ダブル・ディグリー・プログラム」の提携校が上海交通大学(中国)、ソウル女子大学校(韓国)に加え、19年以降、テンプル大学ジャパンキャンパス(アメリカ)、淑明女子大学校(韓国)、クイーンズランド大学(オーストラリア)と拡大した。

英語教育を徹底したことで、ここ2、3年は国際学部の就職先が変わってきました。金融機関が目立っていましたが、コンサルのアクセンチュア、テルモやサントリーといった大手メーカーに就職する学生も増えてきました。今年はほとんどの学生が1年生からインターンシップ説明会に参加するようになりましたし私たちが一番驚いています」(川畑教授)

 求める学生は「第1志望」の学生だけではない。松田教授は言う。

「もちろん総合型選抜を受験する生徒は昭和女子大が第1志望であることが多く、入学後のモチベーションが高く成績も十分です。だけど、最初から女子大を目指してくれる受験生だけに頼っては、生き残れません。一般入試で第2、第3、第4志望に昭和女子大を書いてくれるような受験生を獲得したいと思っています。求めているのは、共学と併願する学生です。昭和女子大学には、成長するチャンスが豊富に用意されているので、卒業するころには、この大学に来てよかったと思ってもらいたい」

 国際日本学科1年の小林万織(まお)さんも、正直なところ昭和女子大が第1志望ではなかった。

「入学した時は気分が下がっていました。友人と一緒に第1志望に通いたかったです」

 悲しみのさなかにいた入学直後、ダブル・ディグリー・プログラムの存在を知り、「2つの学位を持っていたら、かっこいいじゃん」と思った。さらに、インターンシップ科目の説明会では、外資系ホテルのインターンシップに参加した先輩が笑顔で話していたのが印象的だった。

「インターンシップに参加して『私も自信がついた』と言っている先輩が目の前にいて、『私にもできるんじゃないか』と思いました。ここには自分が一歩を踏み出せば、実際に行動に起こせる環境があるんだと思いました」(小林さん)

 入学3カ月にして、ガルーダ・インドネシア航空のインターンシップに今夏参加することが決まっている。能登の復興支援プロジェクトにも参加する。もともと英語が好きで、英検準1級は持っているが、ダブル・ディグリー・プログラムに参加して、QS世界大学ランキング42位のクイーンズランド大学(オーストラリア)に2年間留学して、学位を取ることも目指すことにした。

「自分から行動しなきゃ、自分はきっと変わらないままです。挑戦せずに後悔するより、挑戦して後悔した方がいいかなって思っています。いま、気分が上向いています」(小林さん)

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