大学改革をしていた頃、付属校の志願者も増えていた。附属昭和中学校では21年、前年比2倍である1389人が出願した。倍率は5.7倍で、中学受験において「高すぎた」といい、25年度は693人に落ち着いている。
昭和女子大学のキャンパス構内にある「昭和中学校・高校」の真下峯子校長は言う。
「大学がどんどん元気になっていることは大きいです」
構内にあるテンプル大学ジャパンキャンパス、ブリティッシュスクールなど学外との連携を前面に打ち出すようになり、学びの可能性が広がっていることが伝わっているという。
「ダブル・ディグリー・プログラムで海外大学の卒業資格も一緒に取るんだと決めて、高校3年から昭和女子大学や協定を結ぶ昭和医科大学や芝浦工業大学の授業を受けに行っている生徒もいます。外部の難関大に合格する学力があっても、あえて昭和女子大を選んでいるのです」(真下校長)
付属校から旧帝大、海外大学へも
昭和女子大学に進まない生徒たちも、大学改革はプラスになっているという。実は昭和中高から外部大学への進学実績が増えたのは、近年になってからだと真下校長は言う。
「10年前までは、昭和中高の生徒は基本的に、昭和女子大に進んでいました。ですが、坂東総長が『昭和女子大にない学部に進みたいなら、どんどん外の大学にチャレンジしてください』と方針を示したことで変わりました」
現在は卒業生の7割が外部大学に進学する。東北大学や名古屋大学などの旧帝大、昭和医科大学などの医学部、早慶に進む生徒が続々と現れた。さらに今年はアメリカ・アイビーリーグのコーネル大学をはじめ、海外大学70校に合格したという。
「大学がフレキシブルになったことで、付属校も変わることができたと思います」(真下校長)
大学改革も付属校改革も好調な半面、昭和女子大は志願者数を減らしている。19年は総志願者数1万4千人だったが、25年は9千人だ。前出の昭和女子大の松田教授は言う。
「女子高や女子大が減り、女子大で伸び伸びと学ぶ魅力が伝わりづらくなっているのではないかと考えています。本学は『必ず学生を伸ばすんだ』という覚悟を持ち、泥臭く手間を惜しまない教育に取り組んできました。本学の教育スタイルを、最も理解してくださっているのは高校の先生方です。私たちの姿勢をもっと知ってもらうため、教職員は高校を訪ねて伝える努力をしています」
挑戦は続く。
(AERA編集部 井上有紀子)
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