たうち・まなぶ◆1978年生まれ。ゴールドマン・サックス証券を経て社会的金融教育家として講演や執筆活動を行う。著書に『きみのお金は誰のため』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など
たうち・まなぶ◆1978年生まれ。ゴールドマン・サックス証券を経て社会的金融教育家として講演や執筆活動を行う。著書に『きみのお金は誰のため』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など

 すでに、日本の女性の労働参加率は70%を超えており、先進国でもトップクラスの水準だ。その上で、家事や育児の女性の負担は先進国の中で、ダントツで大きい。この負担を減らせないまま、働くことが難しい女性も多い。「女性が活躍できる社会」を目指して、ジェンダーギャップを埋めることを考えるのであれば、こうした無償労働にも目を向ける必要があるだろう。どこかの学者が言っているように、賃金を上げれば女性が働けるというそんな単純な問題ではないだろう。

 そして、こうした考え方の背後には、お金を稼ぐ仕事の方が重要かのような価値観が見え隠れしている。そもそも経済的な労働と育児を比べれば、明らかに育児のほうが人類にとって重要だ。仕事がなくても人類は滅びないが、育児を放棄すれば人類は確実に滅びるからだ。

 これから深刻な人手不足に直面する日本社会に求められるのは、「男性が家庭で活躍すること」だ。それができなければ、少子化や労働力不足を根本的に解決することは難しいだろう。

AERA 2025年7月7日号

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