洗濯機クリーニング専門店「洗濯機のまじん」 技術責任者:三浦拓真(みうら・たくま)/1997年生まれ、愛知県出身。大手自動車メーカーで3年間の実務経験を積んだ後、リフォーム業界で4年間、広範囲の業務を経験。現在、洗濯機クリーニング業界で専門技術を用いて、高品質なクリーニングサービスを提供(撮影:篠塚ようこ)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年6月30日号には東海エネテック 洗濯機クリーニング専門店「洗濯機のまじん」技術責任者 三浦拓真さんが登場した。

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 普段は見ることがない洗濯槽の裏側。どうしても湿気がこもってしまい、ほこりやカビの温床になりやすい。

 洗濯機の機能の一つ、槽洗浄コースで定期的に洗っていても、臭いが気になったり、洗い終えたばかりの洗濯物にかすが付いていたり……。素人では完全に取り切れない汚れもありそうだ。

 そうした悩みを抱える依頼主の自宅や会社に出向き、洗濯機を分解、洗浄する。ほとんどすべてのメーカー、機種に対応し、1年間に約700台を清掃する。

「弊社では分解までは無料です。分解した部品の汚れをお客さんと一緒に確認し、説明に納得してもらえたら最適な洗浄プランを提案します」

 洗濯機が正常に動くことを確認したら、機種に合わせてあらかじめ用意した工具で留め具などを外していく。底部に取り付けられたプロペラのようなパルセーター、洗濯槽、糸くずフィルター……。パーツごとに見ると、その汚れは想像以上だ。

 こうしたパーツを風呂場などに運び、業務用の洗剤とさまざまなサイズのブラシでこすっていく。隅々まで徹底的に磨き上げ、最後に水分をふき取ると、新品と見まがうほどにピカピカになる。

「ビフォーアフターがはっきりしているので、お客さんがその場で喜んでくれる。その笑顔を見ると、よし、また頑張ろうと思えます」

 部品を元通りにして、試運転。縦型の洗濯機は2時間〜2時間半程度で、縦型より部品の数が多いドラム式は3時間前後で完了する。

 SNSで多数のフォロワーを集めるインフルエンサーが体験、発信してくれたこともあり、次々と予約が舞い込むようになった。引っ越しシーズンや年末などの繁忙期は、毎日3軒のペースで回っても追いつかないほどだという。

 多忙だが、少しでも時間ができるとホームセンターに出向き、より使いやすい道具を探し求める。見つからない時は自作することもある。

「お客さんに気持ちよく洗濯できたと言ってもらえるのがやりがいです。そのための努力は惜しみません」

(ライター・浴野朝香)

AERA 2025年6月30日号

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