
日本テレビ、TBSなどの民放キー局は、それぞれが関連会社としてBS局を持っている。BS放送というと、地上波に比べて全体的な視聴率も低く、番組予算も少ないため、やや地味なイメージがあるかもしれない。
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でも、最近はそれが変わりつつある。BSでもさまざまな趣向を凝らした番組が作られていて、それぞれに熱心なファンがついている。そんなBS番組のラインナップを見ていて気付くのは、50代前後の中年世代の芸人が出演する番組がやたらと多いということだ。
6月5日に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では「BS大戦争芸人」という企画が行われ、バナナマン・日村勇紀、博多華丸・大吉、ケンドーコバヤシ、ずん・飯尾和樹、ドランクドラゴン・塚地武雅というBSでレギュラーを持つ芸人たちが集まり、自分たちの番組の見どころを語り合っていた。地上波でも活躍している彼らが、なぜあえてBSの番組に出ているのか。その背景には、テレビ業界の構造変化と芸人としての人生フェーズの変化が重なっていることがある。
趣味を生かし楽しそう
彼ら中年芸人が出ているBS番組の多くは、それぞれの趣味を生かしたようなものだ。たとえば、『バナナマン日村が歩く!ウォーキングのひむ太郎』(BS朝日)は、日村がいろいろな場所を散歩する様子を映しているだけのシンプルな番組だ。散歩が趣味だという日村。撮影はスマートフォンで行われていて、リラックスした様子で街歩きを楽しんでいる。
博多華丸・大吉の『家呑み華大』(BS朝日)は、カメラが設置された場所で2人が酒を飲んでしゃべるだけの番組だ。酒好きでコンビ仲の良さにも定評のある彼らだからこそ成り立つ企画だ。視聴者も、会話の内容より彼らの関係性そのものを楽しんでいるようなところがある。彼らと一緒に飲み会をやっているような感覚でのんびりと見ていられる。
飯尾が喫茶店を紹介していく『飯尾和樹のずん喫茶』(BSテレ東)、塚地が全国各地の蕎麦屋をめぐる『ドランク塚地のふらっと立ち食いそば』(BS日テレ)もシンプルな企画のロケ番組。彼らは自分たちの趣味を生かした企画を心から楽しんでいるように見える。