
中森明菜本人に会った印象を問われると、加賀はしどろもどろに。
「やっぱり、その……幻の人、こんなにも伝説の人と会っているんだなと……オーラが違うんですよ! 空間が歪むというか。“中森明菜だ!”ってなるんですけど、話しかけたら話しかけてくれるんですよ。信じられない。伝説だと思っている人が“翔ちゃん”って話しかけてくれるんですよ。夢のような一日でした。本当に、ありがとうございました。素晴らしい人でしたね」
レジェンドを目の前にした素直な感想なのだろう。カメラマンの加賀は、中森明菜のある楽曲にハートを撃ち抜かれたとも明かした。
「撮影した『ALDEA Bar』で初めて聞いて、カッコいいと思った曲とかいっぱいあって。『Fin」という曲を知らなかったんですが、振り付けに手をピストルみたいにするところがあるんですが、僕がレンズ覗いていたら、舞台上から客席は真っ暗なんですよ、でも、僕にこう(手でピストルを真似る)やってくれたんですよ! すごいな~と思って、はぁ~~~って。2公演の撮影に入ったんですが、1公演目はシャッター切れてないです」
中森明菜の”感動”の瞬間を収めた
『Fin』を知らなかったという加賀だが、だからこそ新たな目線で撮影できたところもあるのだろう。本人もそう語っていた。
「ファンのみなさんの方が明菜さんのことが大好きだと思います。僕なんかは新参ものなんですが、初めて明菜ちゃんのライブを見た感動の瞬間でシャッターを切っていますので、そういう目線で見ていただけたらなと思っています」
『Fin』の、手でピストルを真似た中森明菜に加賀が心を鷲掴みにされたように、その瞬間を切り取った写真にも魅了される。その理由は被写体の中森明菜と“目が合う”からかもしれない。展示された48点の写真の中から加賀が選んだのはカメラ目線でほほ笑む中森明菜だ。ライブ当日は「1万カットは撮影した」そう。

「ベストショットは決め難いんですが、個人的な思いで言うと、完全にカメラを見てくれている瞬間があったんですね。明菜さんって、本当にお客さん全員と目を合わせられるんですね。舞台に照明があたっているんで、客席は見えないはずなんですよ。でも、客席のどこに僕がいても、見てくれるんですよ。これが、すごくて! レンズを見ているというより、僕を見てくれている。これが明菜ちゃんの伝説たる所以」