竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】7月から販売予定の「ヴィンテージ米おにぎり」はこちら

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 お米の値段が高騰し、備蓄米が流通し始めていることが話題を集めています。私たちの主食として、安心安全なお米が適正な価格で流通する社会。その体制をしっかりと作り上げていくことはいま、非常に大切な課題です。 

 まず、大事なのは、「しっかりと食べきっていくこと」。私たちの立場からすると「しっかりとお客様に売りきっていくこと」だと思います。つまり無駄をなくすことが、生産から消費に至るサステナブルなお米の循環を達成するうえで、重要になってくると考えています。

 そこで、二つの取り組みを始めます。

 一つは、「FOOD GOOD SMILE」。値引きシールが付いたおにぎりの購入で、1個につき1円が、全国社会福祉法人経営者協議会を通じて子ども食堂や介護施設など食材費の高騰に悩む施設に寄付される仕組みをつくることです。

 消費者の皆様にも値引きという形で得が出ますし、食材に困っている施設の方々へのサポートにも繋がり、より無駄のない社会を作っていく。

 もう一つは、備蓄米です。小泉進次郎・農林水産大臣の英断で備蓄米が迅速に、安価で流通し始めたことは素晴らしい取り組みです。

記者会見で発表したヴィンテージ米おにぎりのサンプル

 私たちも備蓄米を店頭で販売します。私たちのサプライチェーンを使ってより広い地域に速やかに備蓄米を届ける。1キロ、2キロの小容量で販売し、需給の安定化を微力ながらサポートしていきます。

 それとは別に、少量ではありますが市中から調達できた2023年産米を使って、おにぎりを作ります。「ヴィンテージ米おにぎり」として7月から関東の一部店舗で販売する予定で、主に23年産米をお試しいただき、身近に流通させようという取り組みです。

 しっかり売り切り、食べ切っていただく。そして困っているところをサポートしていく。そんな循環の仕組みを作っていきます。

AERA 2025年6月16日号

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