
ももクロのリーダー・百田夏菜子さんがホストとなり、月替わりのゲストとトークを繰り広げるAERAの対談連載「この道をゆけば」。新たにお迎えするのは、サカナクションの山口一郎さんです。鋭い時代感覚を持つ山口さんの目に、ももクロという存在はどう映っていたのでしょうか──。AERA 2025年6月9日号より。
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百田:よろしくお願いします! お越しいただけて嬉しいです。
山口:こちらこそ呼んでもらえて嬉しいです。最後に会ったのは、ドーム公演の時だったよね。
百田:はい。9年前に福岡ドームでやったももクロのライブを観に来てくださって終演後にご挨拶させてもらいました。
山口:他にも番組とかですれ違う機会はあったと思うけど、ちゃんと面と向かって話すのは今日が初めてですね。
百田:なので、めちゃくちゃ楽しみにしてました。山口さんが私たちのことを知ったきっかけって何だったんですか?
山口:インテリアデザイナーの片山正通さんと仲がいいんですけど、片山さんを通じて本広(克行)監督から「今度ももクロのライブがあるから一緒に行きませんか?」とお誘いいただいて。僕はあまり人のライブを観に行ったりしないんですけど、二人から“ももクロの歩み”というか、どういうふうにステージを上がっていって、アイドルの枠からどう逸脱していって……みたいな熱心なコンテクストの説明を受けたんです。
百田:なんてありがたい(笑)。
山口:それを聞いて、日本の音楽をやってる身としては、一度ちゃんと観ておきたいなと思ってね。まずは「幕が上がる」(ももクロが主演した本広監督による青春映画。2015年公開)を観に行ったんですよ、片山さんと深夜に二人で。
百田:深夜に!?
山口:そう。あの作品を観て、もうびっくりしてね。ミュージシャンが映画に出る時って、映画のコンセプトに対して乗っかることが多いじゃないですか? でも「幕が上がる」はそうじゃなくて、ももクロありきの映画だった。そして、いろんな人がそこに加担して、ムーブメントを盛り上げようとしていた。