
「モデル年金は、夫は40年間サラリーマンで働いてその妻は専業主婦という設定で、若い人にはそれ自体リアリティーがありません。今回の財政検証ではいくつかの追加資料が公表されていて、そのなかの一つ『年金額の分布推計』では、世代ごとに年金額が試算されています。生年度別に65歳時点で受け取る平均年⾦⽉額を見ますと、2004年度⽣まれ(現在20歳)の額は13.6万円で、1959年度⽣まれ(65歳)の12.1万円より1.5万円多くなる試算が出ています」
前田さんがリポートで参考にしたのは「過去30年投影」ケース。財政検証では、個⼈の性別・年代別の⾒通しを今後の経済成⻑の度合いによって、「成⻑型経済移⾏・継続」(実質経済成⻑率1.1%増)と「過去30年投影」(同0.1%減)で提示している。
今後の成長率を控えめに見た「過去30年投影」では、59年度生まれは12.1万円で、その後1974年度生まれにかけてやや減少したのち増加に転じ、94年度生まれは12.7万円、2004年度生まれは13.6万円となった。
若い世代の方が年金を作りやすい環境
さらに受け取る年金額の分布を見てみると、59年度⽣まれは月額7万〜10万円未満の割合が25.8%と最も多いが、64年度⽣まれ以降は10万〜15万円がボリュームゾーンとなり、04年度⽣まれでは37.5%を占める。
15万〜20万円の割合も59年度生まれは24.3%で、氷河期世代(74年度生まれ)で24.0%に下がるが、04年度生まれは28.2%になる。
「若年世代ほど厚生年金に加入する期間が長く、その割合が増加しているのと、女性の労働参加が進展しています。女性の就業率は59年度生まれが20歳になる79年には46.7%でしたが、足元では54.7%まで上昇しています。厚労省はパートなどで働く人が厚生年金に加入できるハードルを下げていますので、若い世代の方が年金を作りやすい環境にあります」