ルワンダでもう一つビックリしたのがカラス。こんな可愛いツートーン!(図鑑より)(写真:本人提供)

 でも本当に、我らは恵まれた人間なのか?

 確かに、お金もモノも学校その他のインフラも、日本人はルワンダ人よりずーっとふんだんに持っている。でも、だからといって、彼らに「私たちみたいになれば幸せになれますよ。頑張って!」と言えるかというと、モゴモゴする自分がいる。我らの支援が奏功し彼らがどんどんリッチになっていったとして、その先に何が待っているかを我らは実際に知っているからだ。

 格差。嫉妬。孤独。不安。それは豊かさの「副作用」と片付けられるほど軽いものではないし、解決方法もない。そんな深刻な袋小路の中に我々はいる。

 ルワンダで何が一番印象に残ったって、それはどこに行ってもビックリするほど子どもがたくさんいて、ビックリするほど元気いっぱいなことだった。あんな光景を見たのがいつ以来か、もはや思い出せない。今の日本のお子達はもっと複雑な表情をしている気がする。むろんだからと言って、不運なら栄養失調にもなる彼らの方が日本の子より幸せと言うのも無責任だろう。でも日本の子の方が彼らより幸せと言えるかというと、私はやはり口ごもる。

 私のとりあえずの結論は、どうも豊かさと幸せはイコールじゃないらしいということだ。実は豊かさには「ちょうど良さ」ってもんが重要なんじゃないか。

AERA 2025年5月19日号

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