TOTO テーマリーダー:嘉嶋美奈子(かしま・みなこ)/1982年生まれ、埼玉県出身。2005年入社。15年からキッチンの商品企画、開発に携わる。カウンターや扉など、色柄に関する部材を主に担当した後、テーマリーダーとしてキッチン全体を統括(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
この記事の写真をすべて見る

 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年5月19日号にはTOTO テーマリーダー 嘉嶋美奈子さんが登場した。

【写真特集】大物がズラリ!AERA表紙フォトギャラリーはこちら

フォトギャラリーで全ての写真を見る

*  *  *

 水回りの住宅設備機器を製造、販売するTOTOで、システムキッチンの顔とも言えるカウンターを開発する。「美しい、使いやすい、きれい」をコンセプトに作り上げた「THE CRASSO(ザ・クラッソ)」は2023年、国際的に権威のある「レッドドット・デザイン賞」の最優秀賞を、カウンターなど4アイテムで受賞した。

 ザ・クラッソの「クリスタルカウンター」は、すりガラスのような透明感のある仕上がりが特徴だ。単色と柄入りがそれぞれ6種類ずつあり、柄入りは「葉(は)の音(ね)」「花吹(はなぶ)き」など自然がモチーフになっている。

 中でも24年8月発売の「ラールブル」は繊細なグラデーションが際立つ。フランス語の「L’heure bleue(夜明け前に世界が青く染まる時間)」をイメージした空模様が表現されていて、光の強さや入る角度によって浮かび上がる色合いが変わる。

「キッチンのある空間を明るく心おどる場所にしたくて。自然光が当たる時間帯によって違う表情を楽しめますし、自然光か照明かによっても見え方が変わってきます」

 カウンターは、ややもすればシンプルなデザインになりがちだ。だが、ちょっと個性的でも、ほかにない良さがあれば購入したいと考える人はいるだろう。

「コロナ禍で家にこもることが多かった時に考えた企画で、みんなが少しでも元気になれるように空間の華になるカウンターを作りたかったんです。だから『絶対これがほしい』と言ってもらえる色柄にしようと決めました」

 最初は、上司から修正を求められたこともあった。それでもモニターの意見を採り入れるなどして、だんだん良くなる試作品に「やっぱりこれだ」という思いを強くした。最後は上司から「これならいける」というお墨付きも得た。

「思った以上に美しく、見る度に癒やされるカウンターに仕上がりました。このシリーズは形状もデザインも少しずつ改良を重ね、進化させてきた大切な製品です。これからもまだまだ新しい魅力を加えて進化させていきます」

(ライター・浴野朝香)

AERA 2025年5月19日号

こちらの記事もおすすめ 国内外200人が在宅で企業の営業をサポート 一貫した成果を生み出す秘策とは
[AERA最新号はこちら]