
全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年5月19日号にはTOTO テーマリーダー 嘉嶋美奈子さんが登場した。
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水回りの住宅設備機器を製造、販売するTOTOで、システムキッチンの顔とも言えるカウンターを開発する。「美しい、使いやすい、きれい」をコンセプトに作り上げた「THE CRASSO(ザ・クラッソ)」は2023年、国際的に権威のある「レッドドット・デザイン賞」の最優秀賞を、カウンターなど4アイテムで受賞した。
ザ・クラッソの「クリスタルカウンター」は、すりガラスのような透明感のある仕上がりが特徴だ。単色と柄入りがそれぞれ6種類ずつあり、柄入りは「葉(は)の音(ね)」「花吹(はなぶ)き」など自然がモチーフになっている。
中でも24年8月発売の「ラールブル」は繊細なグラデーションが際立つ。フランス語の「L’heure bleue(夜明け前に世界が青く染まる時間)」をイメージした空模様が表現されていて、光の強さや入る角度によって浮かび上がる色合いが変わる。
「キッチンのある空間を明るく心おどる場所にしたくて。自然光が当たる時間帯によって違う表情を楽しめますし、自然光か照明かによっても見え方が変わってきます」
カウンターは、ややもすればシンプルなデザインになりがちだ。だが、ちょっと個性的でも、ほかにない良さがあれば購入したいと考える人はいるだろう。
「コロナ禍で家にこもることが多かった時に考えた企画で、みんなが少しでも元気になれるように空間の華になるカウンターを作りたかったんです。だから『絶対これがほしい』と言ってもらえる色柄にしようと決めました」
最初は、上司から修正を求められたこともあった。それでもモニターの意見を採り入れるなどして、だんだん良くなる試作品に「やっぱりこれだ」という思いを強くした。最後は上司から「これならいける」というお墨付きも得た。
「思った以上に美しく、見る度に癒やされるカウンターに仕上がりました。このシリーズは形状もデザインも少しずつ改良を重ね、進化させてきた大切な製品です。これからもまだまだ新しい魅力を加えて進化させていきます」
(ライター・浴野朝香)
※AERA 2025年5月19日号
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