
航空自衛隊の人命救助のエキスパート、航空救難団を題材にしたドラマ「PJ~航空救難団~」(テレビ朝日系)の第1話が24日、初回拡大スペシャルとして放送される。主演は俳優の内野聖陽さん。救難団の一員を目指す訓練生を指導する教官の役どころだ。演技派として知られる内野さん。過去の出演作品からその実力と人気の理由を探った(この記事は、週刊朝日2022年6月11日号より抜粋、6月11日に配信された内容の再掲載です。年齢、肩書などは配信時のままです)。
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演技派俳優として、映画やドラマ、舞台で活躍する俳優・内野聖陽さん。現在、舞台「M.バタフライ」の稽古に励んでいる。舞台に立ち続ける理由、演じるうえで大切にしていることは──。
熟成させたものが好きだという。酒や料理だけでなく芝居においても、時間をかけて生まれた味わいに惹かれてきた。
「長く俳優を続けたからには、わかりやすい演技や、口当たりのいい芝居ばかりをしてはいかんのだ、という思いがあります。酒でも料理でも、熟成させれば、うまいまずいを超えた、芳醇な広がりがあるじゃないですか。僕の芝居の中にも、そういう広がりとか奥ゆきが出せたらと思うんですよね。とくに舞台のときは、『僕の毛穴、背負っている空気から想像してもらえたら』と、お客さんが想像する余白を残しておきたい欲はある。すべてを説明してしまうのは、無粋な気がするんです」
誰もが、「この人が出ているなら観たい」「内野さんが出ている作品なら面白いに違いない」と思えるような、日本を代表する俳優の一人だが、どんなに経験を重ねようと、創作の最中は、ああでもないこうでもないともがき苦しむ。
「役者であることがしんどいと思ったことはないけれど、お芝居の稽古の最中はずっとしんどい。でも、不思議と生みの苦しみがあるほど、良い作品になることが多くて……。毎日舞台に立つことで、作品がまるで生き物のように、成長していく感覚を味わえるのは楽しい。それが、僕がコンスタントに舞台を続けている理由の一つでもあります」
舞台に立ち続ける理由はほかにもある。
「演じながら、お客さんの反応がダイレクトに伝わることは、舞台ならではの面白さです。役者は、演じながらお客さんのエネルギーをいただいているんです。シンガーのライブでも、声援の大小で全然違うパフォーマンスになるなんて聞きますが、お客さんとのセッション感があることで、稽古ではたどり着けなかったような、ぶっ飛んだところに行ける可能性も高いんですよ(笑)」