寒風吹きすさぶ日が続いています。いよいよ冬の足音が聞こえてきましたね。
こんな季節こそ、ゆっくり手をかけた料理を作って、ほっこり過ごしたくなりませんか?
そこで、ご紹介したいのが「五平」。今では高速道路のサービスエリアなどでも販売されていますが、もともとは実りをもたらす山の神様へのお供え物だったという説があります。
当時、「御幣」の形をしていたことから「ごへい」餅と呼ばれるようになったとか。美味しいうえに栄養価も高い五平餅を、ご家庭で作ってみましょう!

山の神様へのお供え物が起源の「五平餅」
山の神様へのお供え物が起源の「五平餅」
この記事の写真をすべて見る

手間ひまかけて……山の恵みに感謝

「五平餅」は、長野、富山、岐阜、愛知などに伝わる郷土料理です。
地域によって形や味付けに特色がありますが、基本形としてはご飯を潰してお餅のようにし、棒状あるいは板状のものに平たく貼り付けて焼きます。
タレはゴマやくるみ、ピーナッツなどをすり鉢で擂ったものに、味噌や醤油で味付けします。甘辛く風味豊かなこのタレをつけた五平餅は、火であぶるとさらに香ばしく、食欲をそそるのです。
ご飯を潰す、棒に貼り付ける、ゴマを擂るなど、時間もかかれば手間もかかる“めんどうな”料理であることは間違いありませんが、そもそも山の神様へのお供え物だったとすれば、それも当然。山の恵みに感謝しながら、手をかけて心を込めて作っていたのでしょう。
忙しい現代だから、簡単にできるレシピを……なんて言いませんよ。敢えて、しっかり手間ひまかかるレシピをご紹介します!

五平餅は地域によって形も違う
五平餅は地域によって形も違う

「五平餅」の作り方

■材料(4人分※竹串8本分)
・白米3合
【タレ】
・剥いたくるみ 90g
・炒った白ごま 10g
・砂糖 大さじ7
・たまり醤油 大さじ2
・みりん 大さじ2
・酒 大さじ2
・八丁味噌 小さじ2
・おろし生姜 少々
■作り方
①すり鉢にくるみと白ゴマを入れて、油が出るまですりこぎで擂り潰す
②すり鉢に残りの【タレ】の材料を全て入れ、よく混ぜ合わせます
③炊きたての白米をボールに入れ、すりこぎで半潰しにします
④濡らした手で潰した白米をギュッと握りかため、平たい楕円形にします。そこに平たい竹串や割り箸を差し込み、そのまま15分程置きます
⑤熱した焼き網に、串に刺した白米を並べて焼きます。時々ひっくり返して両面を焼きましょう
⑥片面にタレを塗って焼き、焦げ目がついたら反対側にもタレを塗って焼き目をつけます
※タレは焦げやすいので、火加減に注意しましょう

ご家庭で作る場合は、割り箸を活用しよう
ご家庭で作る場合は、割り箸を活用しよう

体にうれしい成分が豊富! 五平餅で体を元気に、若々しく

こうして手間暇かけてできる五平餅は、本当に美味しい……だけじゃないんです!
五平餅を食べると、体によいとされるさまざまな成分を取り入れることができるんですよ。
例えば、タレに入れるくるみは、動脈硬化や骨粗鬆症を予防するというオメガ3(αリノレン酸)などの不飽和脂肪酸や、アンチエイジング効果の高い抗酸化成分(ポリフェノール、メラトニン、ビタミンE)を含んでいます。
そして、ごまには「ゴマリグナン」といういま研究が進んでいる素晴らしい成分も!
ゴマリグナンは女性ホルモンであるエストロゲンと同じ働きをすると言われ、更年期障害や骨粗鬆症、生理不順を予防・改善する効果があるんだそう。女性は積極的に摂りたいですね!
ちなみによく耳にするセサミンは、ゴマリグナンの中の成分の一つ。
セサミンについてはご存じの方も多いと思いますが、老化の原因となる活性酸素を撃退する効果が期待できます。活性酸素は肝臓で多く作られるのですが、セサミンは強力な抗酸化パワーを肝臓で発揮できる数少ない成分なのです。
―― 五平餅の魅力をお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
「実りの秋」最終コーナーに入りましたので、自然の恵みをたっぷり体に摂り入れて、忙しい師走を乗り切りたいですね!

甘辛い味付けは子どもからお年寄りまでみんな大好き!
甘辛い味付けは子どもからお年寄りまでみんな大好き!