
ミュージシャンとして、映画監督として、日本のエンターテインメントを牽引してきた中村正人さんと堤幸彦さんの二人が映画制作でタッグを組んだ。なにかと暗い時代に突き刺さる、熱い思いを受け止めよ!AERA 2025年4月21日号より。
【写真】映画「Page30」のエグゼクティブプロデューサーを務める中村正人さん
* * *
──映画「Page30」はDREAMS COME TRUEの中村正人さんがエグゼクティブプロデューサーと音楽を、「SPEC」「TRICK」などで知られる堤幸彦さんが監督を務める。
堤:はじまりは自然発生的でした。「なにか人の裏をかくようなものを作りたいな」みたいな話をなんとなくしていて。
中村:僕も(ドリカムの)吉田美和も映画がエンターテインメントの究極の形だと思っているんです。僕らは日々映画に救われてきたし、それで人生を乗り切ってきた。チャンスがあったらプロデュースをしたいと思っていたところに堤さんから脚本をいただいて、「これ、そのまま本になるのでは?」というほど引き込まれました。
スタジオに集まった4人の女優。30ページの台本を渡され、3日間にわたって閉鎖された空間で4人だけで稽古をし、4日目に観客の前に立つよう指示される。だが当日まで誰がどの役を演じるかはわからない──物語はミステリアスにしてまるでドキュメンタリーのように進む。
グサッと刺さるセリフ
堤:売れない役者、演技の素人など出自も経歴も違う4人がそれぞれ自分の闇のようなものを背負ってひとつの場所に集まる、という仕掛けを考えました。
中村:4人の女優たちがあたかも自分そのもののような役を演じ、劇中劇をやるというトリックがたまらなかった。「ひょっとしてこの人たちほんとに、ほんとにライブでやっているんじゃないの?」という感覚にさせて、さすがでした。