寒くなるにつれ、コタツでミカンが恋しくなる方も多いはず。では、そのミカンの皮と果肉のあいだにある白いすじ、正式名を何というかご存知でしょうか。



 正解は「アルベド」。白さを意味するラテン語が由来であり、果皮に網目のように広がる部分は維管束(いかんそく)と呼ばれるそう。



 食べるときには邪魔にも思えるアルベドですが、実はカラダにとても良く、風邪やガン予防に効果があるとされるビタミンC、さらには食物繊維やペクチンも多く含まれており、整腸作用や下痢を抑える効果もあります。



 缶詰に入っているミカンには、このアルベドは見受けられませんが、これは缶詰を製造する過程において、外皮をむいたミカンを酸性とアルカリ性の溶液につけこんでから水洗いすることで除去しているためなのだそう。この除去する技術は、大正12年ごろに日本で生み出され、世界中に広まったのだといいます。



 本書『アレの名前大百科』では、日常生活で頻繁に目にしているものの、意外と知らないその正式名を紹介。名前の由来なども解説していきます。



 たとえば、レストランや喫茶店で出てくる、カレーのルーなどが入っている取っ手のついた銀色の容器。この名前は「グレイビーボート」。グレイビーソース(肉を煮焼きするときに出る汁や、それをもとにしてつくられる濃厚なソース)を入れるための器としてイギリスで生まれ、その形状が船(ボート)に似ていることから、このように名付けられたのだそう。カレーのイメージからインド発祥と思いがちですが、実際には、西洋料理用だった器をカレーに使ってみたところ上品だったことから使用されるように。ちなみに、グレイビーボートと一緒に出てくる、ソースをすくうスプーンは「ソースレードル」という名前なのだそうです。



 続いて、インドの婦人が額につけている赤い印の名前。その名前は「ビンディー」。サンスクリット語で"点"を意味する「ビンドゥ」が語源であるビンディーは、原則として、既婚かつ夫が存命しているヒンドゥー教徒の女性がつけるもの。未婚女性はつけていなかったり、赤以外の印をつけるのだそうです。



 元々は、悪霊から身を守り、吉兆を祈る習慣からはじまったビンディーは、宗派ごとに模様も異なっていたそう。神聖な灰や石灰をウコンに混ぜて足や手にも模様を描いていたものの、後に簡略化され、額のみに点で施されるように。しかし現在では宗教的な意味合いは薄れ、化粧などと同様にファッションとして使われることも多く、さまざまなデザインがあるのだそうです。



 知っているようで知らないモノの名前。本書に収められている106の名前のうち、いったいいくつ正解できるでしょうか。ちなみに、本書の監修者である、みうらじゅんさんの正解数は、26でした。