えら・としろう/株式会社エイレックス代表取締役・チーフコンサルタント、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会副理事長。危機管理・企業広報のスペシャリスト。大手広報会社を経て、2001年エイレックスを設立、企業の事件・事故、不祥事などの危機対応において対応において実務経験多数。エイレックス社は国内外の大手企業110社と顧問契約を結び、危機対応・企業広報活動を支援している(写真/エイレックス提供)

 フジテレビのハラスメントに寛容な企業体質、ハラスメントが蔓延していた事実も明らかになりました。フジテレビにとっては、認定されたことでさらなるダメージになってしまいましたが、公正な第三者委員会を設置し、調査に協力して何が問題だったのかを明らかにすると腹をくくり、今回の公表、会見にいたったことはとても評価できます。問題を明らかにし、謝罪や反省、その上で再発防止策をとることが信頼回復の近道だからです。

スポンサーが戻ってくるとは考えられない

 一方で、この報告書をもってただちにスポンサーが戻ってくるとは考えられません。スポンサー企業にとって、人権問題は今日、非常に重要なテーマです。フジテレビは、報告書で指摘、提言された再発防止策、例えば、ライツホルダー視点での人権侵害の被害者対応、人権尊重を基軸に据えた体制構築、コーポレート・ガバナンス機能の強化などについて、ひとつひとつ正面から真摯に受け止め、どう改革・改善していくのかの再発防止策を立て、スケジュール化して、早急に実行することが求められます。

 その具体的な対策や進捗具合も含めて表に出していくことが必要で、企業体質が完全に変わったことを見せていくしかありません。本件が明らかになったのちの今年1月、港社長らが辞任して清水賢治氏が社長に就任するなど経営陣の交代がありましたが、内部からの登用でした。本来ならば外部から全く新しいプロ経営者を入れるなど、思い切った体制刷新をすべき最大のクライシス局面です。

 一連の問題への対応としては、まだ五合目を越えたあたり。ただ、批判されるべき内容については既に表に出たので、これからはそこに向き合って取り組みを前に進めていくときです。

(構成/編集部・川口穣)

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