顔の見えるフラットな関係性が、社内のいいコミュニケーションを生みだしていく(写真:Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 イキイキとした職場づくりには、互いにコミュニケーションをうまく取れていることも重要だ。どのような点に気をつければいいのか。リクルートHR統括編集長の藤井薫さんに聞いた。AERA 2025年4月7日号より。

【図表を見る】働きやすさが大きく変わった!企業別「ちょっとした仕掛け」はこちら

*  *  *

 従業員という言葉に象徴される「企業の命令に従う人」というイメージは近年、大きく変化しています。かつては上司がトップダウンで命令を出し、部下はそれに従うことが一般的でした。でも、今は企業と個人が対等な関係を築くことが重要視され、互いに良い職場環境を作り上げるためのパートナーシップが求められています。

 2014年に始めた「GOOD ACTION AWARD」では、イキイキとした職場づくりを進める企業の取り組みを日本中にシェアするため数多く表彰してきました。当初は首都圏の大企業が多かったものの、11年を経て地方や中小企業、エッセンシャルワーカーなど、範囲は広がっています。働き方改革関連法が施行されたことや、エンゲージメント推進も変化を後押ししました。

 イキイキとした職場にはさまざまな定義がありますが、コミュニケーションをうまく取れている組織の共通点を一つ挙げるならば、「顔の見えるフラットな関係性」ができていること。

 企業規模が大きくなると、当然従業員間の距離も広がります。他の人の頑張りにフリーライドする人が出てきたり、やる気はあっても伝達ミスが起きやすくなったりもします。ズレを防ぐには、上下の階層を極力減らして、互いに声をかけられる風土をつくることが近道。一番良くないのは、「上の人に話しかけづらい」という状況を放置してしまうことです。

 4月は新しい環境に身を置く人が増える季節です。この時期に失敗しがちなのが、互いの持ち味やチームの共通のゴールを話し合わずにいきなり成果を出そうとして個々がバラバラに頑張りすぎてしまうこと。これまでのやり方や価値観を押し通すのではなく、まずは互いの持ち味を共有し、組織の目標や大切にしていることを見極め、話し合ってください。焦らずゆっくり関係性を築いていきましょう。

(構成/編集部・福井しほ)

AERA 2025年4月7日号

[AERA最新号はこちら]