加山雄三の作曲家としての別名「弾厚作」作品の普遍性と不変性。ピンキーとキラーズの“夜明けのコーヒー”やザ・ピーナッツの“靴下直してるのよ”などちょっとドキリとするフレーズを歌詞にちりばめた、作詞家・岩谷時子の世界。ゆず「栄光の架橋」が、「栄光“へ”の架け橋」でないことの意味とは。あこがれのハワイ、「歌本」の変遷……。
 作曲者経験もある著者が「私的『昭和大衆歌謡考』」と銘打つ歌謡曲コラム集の第3弾。“和製ポップス”の登場から初期の大瀧詠一あたりの年代を中心に、日本のポップスが広がりをみせていく流れを独自に考察したコラムで構成。
 一部のCDは中の曲も聞かれない“お布施アイテム”になった今。街に「うた」があふれていた時代の大衆歌謡を再考察してみたい。

週刊朝日 2016年11月18日号