杉山は「(村田の本塁突入のタイミングが)ギリギリだと思ったので、ベースの角にミットを置かず、すぐタッチに行ったら、全然来ていなかった。僕のミス……」と悔やんだが、あとの祭り。走者の足が速くて追いタッチでセーフというケースならよくあるが、遅すぎて空タッチというのは聞いたことがない。まさに芸は身を助く?

 結果的に勝利を決定づける5点目を自らの足でもたらした村田は、 “足のスペシャリスト”鈴木尚広からも「“神走塁”だね」とお褒めの言葉を頂戴し、「普通に滑ったら、セーフになった」とまんざらでもなさそうだった。(文・久保田龍雄)

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。
 

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