二つのカメラを搭載した最新スマートフォン
世界で最も使われているカメラといわれるiPhoneが今年もリニューアルし、カメラ機能が強化された。iPhone7と7Plusがあるが、ここでは上位モデルの7Plusを取り上げる。
iPhone 7 Plusのカメラは、写真を見てわかるとおり、カメラが二つ並んでついているのだ。デュアルカメラ搭載スマートフォンはすでに他社からもいくつか出ていて決して珍しくはないが、iPhone 7 Plusは、広角カメラと望遠カメラで画角を変えてきたのが斬新だ。カメラアプリ上の「2×」をタップするとさっと2×(望遠側)に切り替わる。さらに、そのまま左右にドラッグすればデジタルズームだが倍率を変えられる。
ズームレンズにはせず画角が異なるカメラ二つにしたことで、一瞬で切り替えられる快適さを得て、またズームレンズ化による大型化や開放F値の低下を避けられた。
ただ、同じ厚さに異なる画角のカメラ(レンズ)を入れたためか両カメラのスペックはいささか異なる。
広角側のカメラは28ミリ相当(実焦点距離3.99ミリ)F1.8で、光学式手ブレ補正付き(iPhone7のカメラはこれと同じ)。望遠カメラは、どちらかといえば標準域の56ミリ相当(実焦点距離6.6ミリ)でF2.8、光学式手ブレ補正はなしだ。実焦点距離が2倍ではない(約1.65倍)ところを見ると、望遠カメラ側は同じ画素数ながらセンサーサイズが小さいと推測される。ただし、使っていてその違いをユーザーにいっさい気づかせないのはアップルらしい。2×以上にセットしても夜景時はF1.8と明るく手ブレ補正があり、シャッタースピードを落とせる広角カメラのデジタル2倍ズームが使われる。また、マクロ撮影時は2×にしても、最短撮影距離の短い広角カメラのデジタル2倍ズームが使われる。どちらのカメラを使うかはユーザーではなくiPhoneが決めるのだ。
アップルによれば、両カメラは切り替わって動作するのではなく、常に両方が動いており、内蔵するISP(イメージシグナルプロセッサ)が両者の画像を合わせて絵を作っているという。今回専用のISPが内蔵されたことで、暗所での撮影に強くなり、シャドー部の処理が改善され、オートホワイトバランスも見直され、色域が広くなったなど全体に進化がみられる。
◆荻窪圭
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●カメラ:1280万画素。広角側F1.8、望遠側F2.8。レンズは6枚構成●メモリー容量:32GB/128GB/256GB(ジェットブラックは128GBと256GBのみ)●画面:5.5型、1920×1080ドット●CPU:A10 Fusion。コプロセッサとして組み込み型M10●大きさ・重さ:77.9×158.2×7.3ミリ・188グラム●価格:32GB:8万5800円、128GB:9万6800円、256GB:10万7800円(いずれも税別、アップルストアの場合)