年が明けて入試がはじまった。まずはいくつかすべり止めを受けた。合格発表は郵送か電報か現地に行くかを選べるようで、いちいち東京まで出ていくのは億劫なので自宅で通知を受け取るほうを選んだ(こないだ実家に帰ったらその時の合格通知が何枚か出てきた。すべり止めで受けた大学なんて忘れてしまうものだ)。
第1志望の大学は1次試験が国語と英語の2科目で、2次が面接と小論文だ。1次は無事通って、2次もなんとか終わり……いよいよ合格発表が迫ってきた。せっかくの第1志望なのでこの目で確かめにいこうと、キャンパス内に張り出される合格発表を見にいくことにした。
「(一人じゃ心細いから)よかったら付き合ってくれない?」と誘うと、あの友だちが「べつにいいよ」とついてきてくれることになった。
西武池袋線の池袋駅で待ち合わせしたと思う。去年と変わらない友だちが「やあやあ」と現れた。改札付近の宝くじ売り場の前だったか。
私「わるいね」
友「いやいや」
私「どう最近?」
友「まぁ変わらないな」
私「なにより」
友「そちらは?」
『したほうがいいよ』
私「ずっと勉強してるなー。なんで現役の時しなかったのかなー」
友「しなかったなー」
私「お前はしてたろ?」
友「してたというほどしてないよ」
私「でもしてなきゃ推薦はもらえないだろ?」
友「まぁ、まるでしてないというほどしてなくはなかったけどね」
私「なんだよ、それ。あの時、言ってくれよ。『したほうがいいよ』って!」
友「言ってもやらないだろ?」
私「まー、言われたら腹立つだろうな。『なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ』って」