
「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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桜咲く3月。各地で大学の合格発表が行われました。第1志望に合格された方には心から「おめでとう」とお伝えしたいと思います。
一方で、残念ながら合格が叶わず悔しい思いをされている方や、第1志望へのチャレンジをどこかで諦めてしまって「なぜ私は、第1志望の大学を受けなかったんだろう」と納得いかない思いをされている方も、たくさんおられることと思います。
そんな方たちに、身近な人はどう声をかけてあげたらいいか。とても難しい問題ですよね。本人が一生懸命やり尽くした結果だったか、それとももう少しできたのにという思いを抱えているかにもよるでしょう。いずれにしても「あなたのことは見守っているよ。一人じゃないからね」ということをうまく伝えてあげる。そんなことしかできないのかな、とも思います。
でも18歳、19歳と言えばまだ人生の前半戦が始まったばかり。まだ、何も、ここで決まるわけではない。人生の幸せというものはどこに転がっているかわかりませんし、どうやったらつかめるかも、そう簡単にはわかりません。

私は高校3年生のとき、大阪大学を受験して合格しました。大学の最高峰といえば東京大学、京都大学であることは頭ではわかっていましたが、「阪大は家から近い」「現役で入りたい」という理由で選択し、「自分の実力からもう一歩背伸びしてチャレンジすることをしなかったな」という思いがありました。
ただその後、今にして思うのは、あなたが第1志望の大学に入った経験も、第1志望に入れなかった経験も、そして第1志望に挑戦しないと決断した経験も、今後の人生にとって必ずプラスにできるものだということ。
若い人たちが、大学受験という経験を糧に、光り輝くような人生を歩んでいってくれたらと、心から思います。
※AERA 2025年3月17日号

