千葉拓実さん(右)、千葉真美さん(撮影/片山菜緒子)

夫 千葉拓実[35]イケダガラス 営業

ちば・たくみ◆1989年、千葉県生まれ。2012年に東邦大学を卒業し、ガラスメーカーの販売会社に入社、建築用ガラスや産業用ガラスの営業職として勤務。21年に所属部署がイケダガラスに事業譲渡となり現職

私は一人暮らしが長いせいか自分の生活空間に人がいる状態が苦手で、実家に帰ることさえ億劫でした。結婚なんて到底無理だと思っていて、両親にもあきらめてくれと伝えていたくらい。それなのに、「結婚願望が強い」と言う彼女に、「じゃあ、結婚を前提に付き合ってください」とその場で申し込んでいました。

 取引先の営業だった彼女は、難しい依頼をしても嫌な顔ひとつせず、いつもなんとかできないか知恵を絞ってくれました。私の向こうにいる施主を思いやる丁寧な仕事ぶりに、信頼できる人であることはわかっていました。

 何より、この人だったら近くにいても気にならない、いやむしろずっと一緒にいたい。他人に対してそんな風に思うことは一生ないと確信していたので、自分でも驚きました。

 仕事を終えて家に帰り、夕飯を食べて寝るという単調だった毎日のルーティンが、彼女がいるだけでまるでモノクロからカラーになったかのように鮮やかになったと感じています。

(構成・森田悦子)

AERA 2025年3月17日号

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