山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「GLP-1受容体作動薬服用後の現状と最新報告」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 これまで2回にわたってお伝えしてきた「GLP-1受容体作動薬」。最後に、服用をやめてからの現状と、認知症や感染症などのリスクを軽減する潜在能力があるかもしれないというGLP-1受容体作動薬に関する最新の報告をお伝えします。

 すでにGLP-1受容体作動薬の服用を中止すると、体重が元に戻ってしまう可能性が高いことが報告[※1] されています。私自身、手持ちの薬がなくなったことをきっかけに服薬を中断して2年以上が経ちました。体重は元に戻ってはいないものの、内服をやめる直前の体重からは2キロほど増加しました。

 食欲もあるので、食べ過ぎてしまわないよう常に意識していないと、体重がまた増加してもおかしくありません。そこで、体重を維持するためにも、一日1時間ほど時間を確保し、ジムに行くことが日課となっています。ランニングやウォーキングといった有酸素運動に加えて、体を引き締めるべく適度な負荷をかけての筋力トレーニングもやっています。今まで三日坊主で退会してしまっていたジム通いも、3年目に突入しました。

治療後の運動は効果的

 実は、GLP-1受容体作動薬による治療終了後の運動は、体重を維持するためには医学的に効果的であるようです。

 2018年12月17日から2020年12月17日までの間に、109名を対象にして行った調査[※2] の結果、以前にGLP-1受容体作動薬と運動の併用療法を受けた人は、プラセボまたはGLP-1受容体作動薬(リラグルチド)のみの投与治療を受けていた人と比較して、治療終了後の1年間で、初期体重の少なくとも10 %の体重減少を維持していた人が多かったことがわかりました。

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私も体重が戻らないようにと