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新NISA座数首位のネット証券社長による「預貯金と税金」の視点。四半世紀以上、経済界を走ってきた立場で冷静に語った。AERA2025年月日号より。
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楽天証券は2024年12月で新NISAの口座数が600万を突破。業界トップを独走中だ。総合証券口座は24年の1年間で178万の新規開設があった。前半は新NISA開始初年ということもありロケットスタート。ただ、8月に日経平均が一時暴落すると、伸びに一時ブレーキがかかった。
「新NISAでは米国株の投資信託が人気ですが、口座開設となると日本人は日本株の動向に影響されるようです」
日本株の回復とともに口座開設数は再び増え始め、25年1月は新年効果もあり、昨年秋の倍近い数が入ってきたという。
「2014年に旧NISAが始まり、4年後の18年につみたてNISAも加わりました。もともと投資が好きな方はその時点でNISA口座を開いています。新NISAが始まった24年は制度発足から10年、初心者が主役になったと感じました。大衆化してきたと思う」
20代中心にアプリ構築
昨年末には資産運用アプリの「iGrow」が話題になった。12月25日のリリース直後、アップルストアのダウンロード数は金融系アプリで首位。日頃は辛口のネット民にも称賛され、4月までに100万ダウンロード到達の勢いという。見やすい画面デザイン、操作性の良さは楽天証券の得意分野。主要ネット証券の新NISAは口座獲得競争が激化しすぎて手数料がほぼタダになってしまった。ここからは使いやすさ、わかりやすさが差別化の鍵の一つとなる。同じコストなら気持ちよく使える金融機関を人は選ぶ。
「『iGrow』は企画系の20代社員を中心に作りました。当初は部長クラスなど40、50代の多い顔ぶれでしたが、話し合いを横で聞いていて、チームの再編成を指示しました。20代の人がこの先ずっと使いたいと思えるアプリは20代を主役に作ったほうがいい、と」
若者の長期投資を応援する意気込みを聞いたところで、62歳の楠社長に尋ねてみた。ご自身は新NISAやってますか?
「もちろんです。日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳(厚生労働省発表、23年)。ちょっと長生きすれば90歳になるから、私もやらないと。iDeCoも続けています」