過去に忙殺されまくったことがある人に読んで欲しいミステリ
はじめまして、佐伯ポインティといいます。YouTubeで猥談をやったり、Podcastでお悩み相談に乗ったりしています。漫画や映画、小説が大好きで、高校時代はホラーやミステリ小説を書きたかった過去もあったりします。今回はとあるミステリ小説をおすすめしたいのですが、その前に。
「この言葉、最初に言い出した人、言い当てすぎてて凄いって!」という単語ってありますよね。たぶん「忙殺」なんていう単語を最初に考えた人は、すんごいブラック企業みたいな労働環境だったと思うんですよね。「ちょ、生きていくための仕事なのに、忙しさで殺されそうになっとるやないか〜〜〜!」っていう、渾身のノリツッコミ。しかも、ちょっと笑ってまた目を真っ黒にして仕事に戻ってそう。
そんな“忙殺”状態の職場で失踪事件が起きて、失踪した本人から「私は殺されました」ってメールが届いて、しかも自分が事件の容疑者になったら……? むっっちゃ疲れますよね⁉ いや普通に仕事させて! てか仕事したくないわ⁉ ⁉っていう。そんな極限の疲れを体験できるのが、遠坂八重の『死んだら永遠に休めます』です。
この本を一番楽しめるのは、かつて大変な仕事で極限の忙殺状態にあった人が、余裕をもった日々の中で読むときです。例えるなら、元野球部員が夏休みにクーラーのきいた部屋で、ジュースを飲んでゴロゴロしながら高校野球の放送を見る感覚に近いです。行きたくない日も部活や試合に行っていた経験のある人にはこの楽しみが分かるはず。むちゃくちゃ“愉悦”ですよね⁉ 厳しい部活を終えた人だけが感じられる、人生の果実。それのブラック職場版があったとは……!
『死んだら永遠に休めます』の、限界社会人主人公の思考を読みながらその“愉悦”を強く感じました。
なぜならポインティが新卒で入社した会社は、出版系ベンチャーなんです。しかも社員数は十人ほど。このやるべきことが無限にありそうな雰囲気、感じ取ってもらえますか……? パワハラ上司とか、ヤバい同僚とかがいたわけじゃないんですよ、ただ、むちゃくちゃにやることがある。しかもポインティは、仕事ができないんです。