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■女装する動機は人によって違う
和恵:人それぞれなんですよね。女装と一口に言っても、みんな動機が違いますし。私は、ただ好きなファッションをしているだけ。
メイリー:そうだったんですね! 衝撃です。
ミッツ:和恵さんは素顔でいるときもあるし。
和恵:私の女装は基本的に歌っているとき、ステージに上がるためのもの。「夜間飛行」のお店に立つときは女装したくなかった。そのこだわりがあるんです。
ミッツ:素顔と女装の両方の価値が確立されているから、両立するんでしょうね。
──ミッツさんが7年間、コラムを連載してくださった「週刊朝日」も休刊になります。時代の変化をどう感じていますか。
ミッツ:紙媒体がデジタルになり、縦書きの情報が横書きで提供されることが多くなったという一つのプロセスに過ぎないものだと思います。音楽もそうです。
「これが聞きたい」という欲求が沸く前に、情報がアップデートされて、通知が届いてしまう。嫌だったら指一本で消すこともできる。
でも、そういう時代だからこそ星屑スキャットが受け入れられているのだとも思います。80年代や90年代の音楽業界だったら、本物のエンターテインメントとして認めてもらうのは、難しかったでしょう。少なくともNHKの番組には、絶対に出ていなかったと思います。
私自身は、デジタルの情報処理が苦手で、いまだに紙媒体でなければ、うまく反応できないのですが、時代が変わることにはプラスとマイナス両方の側面があります。ただ懐古主義に浸るのではなく、デジタル時代における「古い世代」としてどう立ち振る舞うか。それは案外、やり甲斐のあることだと思いますよ。私の連載もアエラドットで続きますし、デジタルプラットフォームにレイアウトされた私の文章を楽しむ術を、ぜひ読者の皆さんにも見出していただけるよう、これからも不親切なものを発信していきますので、どうかひとつご贔屓に。
(ライター・角田奈穂子)
※週刊朝日 2023年6月2日号
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