モテに関してこじらせて大人になった
そんななか、周囲が恋愛の経験を重ねているのに対して、自分にはまだこれといって特記すべき思い出がないとなると、焦りや戸惑いがあるのは理解できます。私自身も恋愛に関してあまり早熟なほうではなかったので、高一ですでに男性と肉体関係を持っている子、一年以上付き合った彼氏がいる子などにコンプレックスを持っていた時期はあります。三カ月以上男と付き合ったのも、同じ人と二回以上セックスしたのも、大学に入ってからだったし、そもそも若い時、モテる女であったことがないので、モテに関して非常にこじらせた欲望を抱えて大人になりました。
さて私は今四十一歳で、通っていた高校が都内だったこともあり、けっこうまだ高校時代の友人と付き合いがあります。そして恋愛遍歴は本当に様々です。高校で一番といっていいほどモテていた美女は高三の時から付き合っている年上の男性と結婚し、はやばやと娘ができて今も夫婦関係は続いています。私の仲良しで同じクラスのイケてる男子と早くにくっついた女の子は長く不倫していましたが、三十五を過ぎて婚活にはげみ、昨年出産しました。
高一の時に付き合った同級生カップルでそのまま結婚して今も円満な人もいるし、高校時代は恋愛と縁がなさそうだったのにすでにバツ2という人もいれば、性的な関係はあっても恋愛という感じではなかった黒ギャルの友人はいまだに独身を謳歌して米国人の大変愛情深い恋人と暮らしています。こうなってくると高三までの恋愛経験値はもう覚えてもいないというか、何が経験豊富で何が豊富じゃないのかという基準は極めて曖昧になってきます。
私は稀に経験豊富な人、というくくりで語られることがあります。高校時代にろくな彼氏がおらず、大学時代は恋愛経験豊富というよりただのヤリマンで、二十代はひたすらネタでしかないようなダメ男と恋愛を繰り返し、三十代でも男にフライパンで殴られたり山梨の山奥で婚約指輪が入っていたっぽい箱を頭に投げつけられて流血したりして四十まで独身だった私を、経験豊富と捉える考え方もあることにはあるでしょう。