何度も通えば、外国人上司にプレゼンする日本人のスピーキングや、ポイントを押さえたリスニングのブラッシュアップにも役立つことウケアイだ。
また世界中から日本観光で集まった観客の共通の興味は、日本のこと。バウ(お辞儀)しすぎなどの「日本人あるある」が鉄板ネタになることが多い。自分にも大いに心当たりがある身近な話なので、何を言っているのか想像しやすいというメリットも。ライブの熱気という特効薬も加わって、思った以上にゲラゲラ笑ってしまった。
教科書では学べない
この日、出演した日本語ネイティブの3人にも聞いた。
まず漫才やコント、落語などの構成作家が本業の森笠佑馬さん(34)だ。ステージに自ら立つようになったのは、カナダに1年半留学し、スタンダップコメディーのクラスを取ってから。
「講師に『You have charisma.(カリスマ性がある)』とおだてられまして。今思えば、『We have Christmas.(クリスマスだね)』と言ってたのを聞き間違えたのかもですが」(森笠さん)
ネタでは「アル・パチーノがタンポンのCMに出ていてもおかしくないような」日米のCMの価値観の違いをイジり、米国の子ども向けピザチェーンをブラック風味で語り笑いを取った。
「スタンダップコメディーをやってから、英語は喋りのトーンやリズムも大事なのだと、教科書にはないことを学べました。あと品のない語彙も(笑)」(同)
続いて冒頭で、客席のナンシーを探してウケていた宰務翔太さんだ。数年前までプロの芸人として活躍、ちなみに当時の相方のひとりは、昨年M-1グランプリの決勝に進出したらしい。
日本人の自虐を交えながら芯をつくネタを英語でポツポツ語る芸風で、何だか新しいお笑いに出合った気持ちに。この日は英語の教科書から始まり、英語が聞き取れないときの日本人などのネタが続いていった。
「英語は学生時代にハワイ、コロナ禍後にカナダに留学して身につけたもの。驚いたのは日本のことを海外の人が意外によく知っていることです。日本人、アジア人が、典型的にどう見られているのかも勉強になりました」
そしてこの日のショーの最後に登場したのは、ユリエ・コリンズさんだった。アメリカ人の父を持つ、和歌山生まれのバイリンガルだ。日本の高校を卒業後は、俳優業をしながらニューヨークで暮らしてきた。