現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります(2部構成の前編です)。
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約束2分前に到着「いつもは遅刻しないんですけど」
待ち合わせの喫茶店で待っていると、実憂さん(34歳/仮名)は、ハアハアと息を切らしながらやってきた。
「いつもは遅刻しないんですけど」
そう言って席に着いたのは、約束の2分前だ。
そして、不安げな顔で聞いてくる。
「カヲリさんとゆっくりお話ししたいなと思って、勢いでDMしたんですけど、そんなノリで応募していいものじゃなかったかな?って。私の特徴といえば、30代既婚ということしかなくて、面白い話はないんですけど大丈夫ですか?」
私は、「何の問題もないよ」と言って、ICレコーダーのスイッチを入れた。
実憂さんとの出会いは、18年ほど前だ。当時、静岡に住む高校生だった実憂さんが、大阪で開催した私の写真展に遊びに来てくれて、その後、被写体にもなってもらった。当時から、思い立ったらピョンと行動するタイプだが、今回も同じようなノリで来てくれたらしい。
昔から大人びていたせいか、印象はあまり変わらない。アニエスベーの白黒ボーダーのセーターに、さりげなく茶色がかったロングヘア。自然体でよくしゃべる、明るい女性だ。
紹介は「身元がしっかりした人」
3年前に結婚したようだが、今はどんな暮らしをしているのだろう。
「めちゃくちゃ平凡な話なんですけど」
そう前置きすると、まずは結婚の馴れ初めから話してくれた。
「大学時代にバイト先のドトールで仲良くなった先輩女性がいて、社会人になってからも付き合いが続いていたんですね。その先輩女性が結婚して、旦那さんの幼馴染という、超『身元がしっかりした人』を紹介してくれたんです」
その前は、マッチングアプリで1人だけ会ってみた男性と付き合ってみたり、Xのpostが面白いと思った中年男性に興味を持ち、DMを送って文通を始めたりしたこともあったという。確かに、それに比べると、だいぶ自然な出会いだ。
複数名での集まりだったが、後に夫となる男性は、実憂さんのことがすぐに気に入ったらしい。