「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
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1月下旬になりました。この原稿を書いているのは1月半ばなのですが、数日前の成人の日に、我が家の次女と息子が通う学校で卒業生の ために行われた「成人を祝う会」にPTAのお手伝い要員として出席しました。この学校は幼稚園から高校までの一貫校のため、地元に友人がいないお子さんが多く、毎年、高3の時の担任の先生や当時の生徒会メンバーが中心となって祝う会を企画し、校内の学食でイベントが開催されるのです。
足の不自由な息子は台に乗れる?
昨年までは「PTAのお手伝い」として他の在校生のママたちとともに会場設営をし、振り袖を着たかわいい女子たちの姿を見て楽しませていただいたのですが、今年は我が家の子どもたちも高3と高2になり、再来年は次女、3年後には息子がこの舞台にいるのだと思うと一気に現実味が増しました。会の最後にはひな壇に乗って集合写真を撮るのが恒例なのですが、息子は足が不自由なため、「手すりなしでこの台に乗れるのか?」など、ついつい過保護な想像もしてしまいます。
息子が20歳になる時には、当然ながら私はPTA会長ではなくなっているので、こうして間近で手伝うことはできません。息子が成人しても、私はまだこんなに過保護なのかな…と思うと、これでも良いような気持ちと、もっと離れなくてはという気持ちが混ざり、とても複雑な心境になりました。それでも、今年は次女の2つ上の学年の生徒さんが成人を迎え、幼稚園の頃から知っているお子さんたちが立派な大人になった姿を拝見でき、とても楽しいひとときを過ごしました。