「1929年、つまり今から90年以上も前と今では経済状況も金融政策も何もかも違うのであまり参考にならない。

 今後の最大損失の目安は2007〜2009年のリーマン・ショック程度、つまり50~60%下落する可能性があると知っておけば十分です」

 この「最悪の下落率」から、今の投資金額を改めて確認しよう。

「今後、最悪、資産が半分になる可能性もある。一時的に半分になったとしても、焦らずに保有し続けられる(戻りを待てる)資金で投資しているか」

 もし「新NISAで投資しているお金が半分になったら、すぐやめる」と思っている人は、そもそもリスクを取りすぎ(投資しているお金が多すぎ)かもしれない。

 預金も含めた全財産が1000万円あるとして、そのうちリスク資産が900万円だとする。これが半分になったら、全財産は550万円となり、焦るかもしれない。

 リスク資産が500万円で、これが半分になったら「額面上の」損失は250万円、全財産は750万円。リスク資産200万円が半分になれば損失は100万円で、全財産は900万円。

 人によって「どこまでの(一時的な)損失に耐えられるか」は違うはずだ。

全世界株式の下落

 さて、全世界株式の過去の下落も見ておこう。指数はMSCIのACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)がポピュラーだ。

 新NISAで一番人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」もこの指数に連動している。

 MSCI ACWIの算出がはじまった1988年1月から34年間でのワースト1位は、リーマン・ショックの下落率61.5%。S&P500とほぼ同じ程度の下落率だった。

 ワースト2位は1998年7月〜2003年3月のアジア通貨危機から米国ITバブル崩壊に至る38.8%の下落。下落が続いた期間は4年8カ月だった。

 過去の歴史に学んだところで、現代の話を。冒頭で触れた2024年8月5日の暴落で、実際はどれくらいの「投げ売り」があったのだろうか。

 大手金融ベンダーが「eMAXIS Slim、初の純流出」と報じ、「みんな、けっこう売ってる」などとネットでも騒がれていたが。

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オルカンは売られたか