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 20日に就任した米国のドナルド・トランプ大統領の演説を聞いて肩を落としたのは民主党関係者だけではなかった。英語研究者も同じだった。驚くほど簡単な英語で「かつてない」「見たことない」を何度も繰り返し、格調とは無縁だったからだ。前回のトランプ演説や歴代大統領の演説を同時通訳してきた関西外大袖川裕美教授が“トランプ流の英語”を解説する。

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 歴代の大統領で、1961年のケネディ大統領の「アメリカ国民よ。国家が君たちのために何をなしうるかを問うな。君たちが国家のために何を成し得るかを問いたまえ」が格調高い演説の代表とするなら、今回のトランプ大統領の内容は「真逆」だ。誰にでもわかるレベルの英語で、インテリが嫌う「繰り返し表現」を多用する。アメリカらしい理想や民主主義の理念を語る言葉はない。

もっとも特徴的なのは、「かつてない」という表現だ。

like never before

演説はThe golden age of America begins right now.(アメリカの黄金時代が今始まる)で始まる。トランプ氏は、今回も前回の大統領就任演説(2017年)のときと同様に、アメリカ第一主義を掲げ、自身が率いるこれからの4年がいかに輝かしい「黄金時代」なるかを説く。

今回は、アメリカがいかに類例のないものになるかを前回以上にアピールしていた。

like never before(これまでにない)、than ever before(これまで以上に)、has ever seen (before)(これまで見たなかで)など。

  • America will soon be greater, stronger, and far more exceptional than ever before. (アメリカはまもなく、これまでよりもさらに大きく、より強く、はるかに例をみないものになるだろう)
  • National unity is now returning to America and confidence and pride is soaring like never before. (今、アメリカには国民の団結が戻りつつあり、かつてないほど自信と誇りが高まっている)(*文法的に正しくないが原文ママ)
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