銀行はお客様のためにある、そして父の誇りを胸にここから始めるんだという、ものすごくシンプルなメッセージを、「♪守るんだああぁあ~」とこんなにも壮大に歌い上げるのかって。ドラマなどのセリフなら2行くらいで表現できそうなことを長い時間をかけて朗々と歌い上げる。「ミュージカルは面白い」と再確認しました。小さなことや些細なことでも伸ばして大きくして見せるこの手法が芸術的というか、エンターテインメントを感じるというか。
何を削っていくべきか
今こうやって普通に話していて、突然歌い出すことは現実的にないですよね。さっきちょっと歌っちゃいましたけど(笑)。突然歌い出すことを“アリ”とする世界観も面白いし、それをオーケストラを背負って「♪銀行を守っていくんだああぁあ~!」って。また出ちゃいましたけど(笑)。それはもう、めちゃくちゃ面白い。そして、これを東急シアターオーブのど真ん中でやっていいんだと思うと、もうそれだけで最高です。
僕の努力次第で作品の良し悪しは左右されてしまいますし、ミュージカルに限らず、作品に僕自身が魅力を感じていなければ表現は物足りなくなってしまう。しっかりと覚悟を持って務めたいと思っています。
(編集部・秦正理)
※AERA 2025年1月27日号より抜粋