コロナで行き場をなくした人々が今年は規制がなくなってどっと出てきたのか、ウクライナの戦争など不安な時代のせいか。いずれにしろ、こうした外部からの変化にも目を光らせておかねばならない。

 私個人に関していえば、昨年十二月に大腸の内視鏡検査でポリープを二個除去した。一個はすでにガン化していたとかで危機一髪。

「運がいい、まだまだ仕事をしろということですな」

 と主治医からのご託宣。ずっと画面を見ていたが、自分の腸のピンク色のなんと美しいこと。その中に以前よりふくらんだ起伏があって、そこを切ってつなぐ作業を観察できた。初体験で興味深く最後まで見てしまった。安定剤のおかげで痛くはないが、切る瞬間の感覚がかすかにある。小一時間の小手術。ともかくさっぱりすっきりした。

 というわけで、今年も例年と同じく正月が過ぎ、日常が始まった。主治医のお墨付きもあり、さあもう一仕事!

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中

週刊朝日  2023年1月20日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?