北海道猟友会・札幌支部の「ヒグマ防除隊」の隊長を務める玉木康雄さん=本人提供

バイタルポイントを外れれば

「もし、弾がバイタルポイントを外れれば、惨劇になりかねない。クマに反撃されるだけでなく、手負いになったヒグマが市街地に放たれるということですから」

 クマの頭を射撃して脳幹神経を破壊すれば、確実に動きを止められる。だが、頭蓋骨は分厚く、狙いが少しでも外れれば、弾ははじかれてしまう。急所を狙うといっても、部位によってはリスクもあるということだ。

「クマがこちらに向かってくるとき、頭部の解剖図が頭に浮かんで、『この角度から撃てば脳幹神経に到達するな』と冷静に判断して射撃できる人でないと、頭は撃たせられません」

 そのため、ハンターは心臓や肺などを狙って撃つことが多いが、仕留めるのは容易ではないという。

「興奮して、口から泡を吹きながら向かってくるような場合、バイタルポイントに命中しても、1発だけではとても動きを止められない。弾を5発ほど放ってようやく静止したヒグマもいました」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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