結果は予想どおり、最も差異が出たのは短期入所で、利用するかしないかで、医療的ケア児を育てる負担感が変わることが分かりました。KH Coder(統計分析ソフト)を用いた自由記述欄の分析でも、「生活の中で困っていること」の自由記述の文中に使用された単語の1位が「入所」、2位が「短期」、3位が「睡眠」という結果であり、医療的ケア児を育てる保護者が、短期入所や睡眠に関する困りごとを抱えていることの裏付けとなりました。

  ただ、医療的ケア児は全国に2万人以上いるとされていますが、18歳未満の人口の割合で見るととても少数です。そのため、どうしてもデータのサンプル数が少なくなってしまい、今回は福祉サービスの中でも「短期入所」に特化した分析しか科学的な差異が出ませんでした。でも、こうした保護者の切実な声を研究者が何度も細かく分析していくことで、今後の社会資源の拡充につながっていくのだと思います。アンケート調査にご協力してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

個人の力ではどうにもならない

 さて。我が家の医療的ケア児の長女は、この原稿を書いている1月5日現在、まだ卒業後の進路となる生活介護施設の受け入れ先が決まっていません。さらに、毎月お世話になっている大学病院のレスパイト(短期入所)も3月末で卒業になりますが、その後に今と同じようにコンスタントで預けられるところも見つかっていません。

 私はソーシャルワーカーなので、普段はこうした生活環境の困りごとを、専門職として障害のあるお子さんを育てるご家族と一緒に考えて解決策を見出すのが仕事ですが、自分自身の生活が壁に当たっている状況です。この問題は個人の力だけではどうにもなりません。そして、こうした困りごとを抱えている保護者は私だけではないはずです。現状がどう進展していくのかを、来年以降に18歳を迎える方々のためにも引き続きこのコラムで書いていきたいと思っています。

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