「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
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2025年になりました。今年も障害のある子どもや家族に関するさまざまな発信をしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。さっそくですが、今回は2024年から2025年にかけての年末年始のことを書いてみようと思います。
仕事に介護に論文書きに
2024年12月は、ここ数年でもっとも慌ただしい時期でした。我が家の医療的ケアが必要な高3の長女が卒業後の進路が決まらず困っていることを、「18歳の壁」をテーマにTBSの「Nスタ」というニュース番組で取り上げていただけることになり急遽撮影が入ったり、双子の次女に毎日作っていたお弁当が12月半ばで終わったため、最終日には15年前の幼稚園入園時と同じものを再現してみたり、次女の大学の入学手続きがあったり、高2の息子が体調不良で寝込み、さらに私も息子から風邪をもらってしまったり……と、普段の仕事にプラスしていくつもこなさなければならないことが重なり、毎日のように「今日何日だっけ?」と夫に聞いていたように思います。
さらに追い打ちをかけたのが、半年ほど前に量的調査をした論文の仕上げです。すでにエントリーをしてしまったため、1月10日必着で大学に提出しなければならず、12月後半は少しでも時間が空くとパソコンの前にいました。
医ケア児の負担感の根拠づけ
この研究は「社会資源の利活用状況と医療的ケア児を育てる家族の負担感との関連」という少々長くて難しいタイトルなのですが、医療的ケア児の家族の負担感が、福祉サービス(社会資源)を利用するとどう変化するか?を調査したものです。
数日間、短期入所や入浴支援を利用すれば家族の負担感が減るのは簡単に想像できると思いますが、面倒な作業であっても、あえてこのことを主観ではなくデータ分析をすることによって根拠づけができるのです。
今回は、医療的ケア児の重症度を公平に判定するために「医療的ケア判定スコア」(厚生労働省が出している、福祉サービスを利用する時にどの程度の看護配置が必要かを判断するためのスコア)を使って分析を行いました。