「つらい時でもご飯を食べたらまた頑張ろうって思ってくれるかなと思って」と長男の受験を振り返った(撮影/写真映像部・和仁貢介)

モテたかったら勉強!

──高校受験に向けてどんなサポートをしましたか。

 勉強が楽しかったみたいで、毎日のように塾に通っていました。塾が終わってからも先生に質問したり、残って勉強したりして、あっという間に成績が伸びていきました。

 先生との相性がよかったようです。若い先生で「頭のいいやつはモテるぞ。モテたかったら勉強しろ」と言ってやる気を出させてくれました。だから、私から勉強しろと言ったことはありません。

 塾から帰ってくるのは夜の12時近く。お弁当は渡していますが、おなかをすかせて帰ってくるので、毎晩夜食を用意しました。食べることが一番の楽しみと言っていたので、とにかく好きなものを食べさせました。食べながらその日勉強したことを話してくれるんです。私はとにかく聞く。話したら気が済むみたいで、バタンと寝るという毎日でした。

──その調子で東大受験も乗り切ったのですか。

 いえいえ、大変なこともありました。長男はずっと目指していた第1志望に合格できなかったんです。それで第2志望だった開成高校に行きました。

 ただ、そのせいもあってか、途中で高校に行かない時期がありました。朝、部屋から出てこないんです。何度も引っ張って学校へ行かせようとしました。せっかく開成に通ったのにと、ものすごく焦りましたし、困りました。

 でもどんなに腹が立っても、長男の味方は私しかいない。だから私は私にできることをしようと思い、ご飯を作り続けました。つらい時でもご飯を食べたらまた頑張ろうって思ってくれるかなと思って。

 大学受験では第1志望に合格できて、本当によかったです。挫折して強くなったのかもしれません。

(構成/ライター・浴野朝香)

AERA 2025年1月13日号より抜粋

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼