保護者会ではちょっと聞きにくい。でも、気になる! そんな疑問を現役小学校教諭に教えてもらいます。今回は「テスト」について。お話を伺ったのは東京学芸大学附属世田谷小学校の木村翔太先生。「AERA with Kids2024年冬号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【マンガ】「行ってきまーす」…って体操着忘れてる!子どもが学校に忘れ物をしない「しくみ」づくりはこちら(全17枚)「テスト」ってなんのためにあるの?
私が小学1年生のころのお話です。テストの点数が悪いとこっぴどく怒られるということを知った私は、しだいに怒られなさそうな点数のテストだけを持ち帰るようになりました。どうあがいても説教確定の点数のものは、机の引き出しの奥に押し込まれていきました。しかし、全力でプレスをかけても収納できなくなってくる緑の引き出し。担任の先生に気づかれ、その日のうちに三者面談になりました。帰り道、二つの紙袋いっぱいのしわくちゃのテストを両手にぶら下げ、終始無言でつかつかと歩く母親。家に帰り着いて発せられたのは「隠すなんてずるいことをするんじゃない!」という、私の意表をつくひとことでした。子どもながらに「えー、そっち? 持って帰っても帰らなくても、どっちみち怒られるんじゃーん!」と思ったものです。
テストにまつわる思い出をお話ししました。テストは、点数を気にする子も気にしない子もいます。親子間の温度差も多く、「うちの子、点数が悪くてものほほんとしてるんです。先生なんとか言ってくださいよ」とお願いをされることも。確かに、せっかくテストを受けるのなら、1点でもいい点を取ろうとがんばってほしいものですよね。
しかし、テストはそれに向けて勉強し、そのがんばりを評価するという「ゴール地点」としてだけでなく、これから先の目標を持つための「スタート地点」として活用することも大切だと思います。
例えば、これまで怠惰な生活を送っていた人が体力向上を目指してジムに入会したとします。そして、その後のトレーニング計画を立てるために初日に体力測定をするということはおかしなことではありません。同様に、「これから、なにをどう勉強していくか」を考えるために、今の自分ができていることとできていないことを確認するのがテストの大きな役割なのです。
次のページへテストの有効な活用法とは?