入門書から上級者向けまで、タロットに関する書籍も刊行点数が年々増えている(場所:東京・書泉グランデ)

 ファーストテキストとして多くの人の手に取られている『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』(日本文芸社)は、2017年の刊行以来、着実に版を重ねて15万部を突破、シリーズは20万部を突破した。担当編集者は言う。

「発売以来、驚くほど安定して売れ行きを維持しており、読者層は30代〜40代女性がメインです。女性は年齢によってライフステージが変わりやすいので、節目で生じる人に話しにくい悩みや気分的な落ち込みに対し、タロットが“相談相手になってくれる友達”のような存在になっているのでは」

 未婚・既婚、子どもの有無、働いているか否かなど、置かれている状況によって悩みの種類は変わる。相談できる相手が同じ属性とは限らないし、自分の悩みで相手の時間を奪うのも申し訳ない。ならば人に話すよりも、カードをめくったほうが早い。しかもタロットは恋愛、仕事、お金、人間関係、子育て介護……どんな問題にも答えてくれる。

 数々のタロット本の著作がある鏡リュウジ氏は「タロットの人気の秘密の一つはその敷居の低さ」と語る。他の占いと異なり複雑なルールがなく、絵から受ける直観とイマジネーションさえあればすぐに占えるようになるのが魅力だ。

 また、最近は初級から中級に進み、シャッフルやカットの方法、スプレッド(カードの並べ方)についての関心も高まっている。そうした「技法」の解説書も12月20日に刊行されるなど、タロット界隈はますます賑わい、成熟し続けている。

 もしかしたらそう遠くない未来、誰もが自分用のカードを持ち、日々「自分との対話」を図るようになる日がくるのかもしれない。

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