密室で行われていた占いが、YouTubeで体験できるように
コロナ禍において、大がかりな撮影機材や有名な演者を必要としないエンタメとしてYouTubeは飛躍的に視聴者数を増やした。その結果、我々の日常に新たに入り込んだコンテンツには、新しい形の「占い」もある。それが「3択リーディング」だ。
まず動画の冒頭で3枚のカードが提示され、視聴者はそのうちの1つを直感で選ぶ。すると占い師がABCそれぞれの選択肢を選んだ人のためにタロットカードを展開し、「今のあの人の気持ち」や「これからの展望」といったものを占ってくれるというものだ。
占いが好きで、よく3択リーディング動画を視聴しているという大学生のAさんは言う。
「地方在住だと対面で占ってもらえる場所はそんなに多くないし、お金もかかる。でもYouTubeの3択リーディングは、実際の占い鑑定1回分くらいの満足感を得られるんです」
個人鑑定とは異なり、不特定多数の人に向けたリーディングであるにもかかわらず、不思議と「当たっている」と思わせる何かがある。誰にでも当てはまるような曖昧な表現というわけでもなく、なぜか「これは自分のことだ」と思える。
その「当たる感」が話題になるとたちまちファンがつく。占いYouTuberの中でも人気の「あんずまろん(www.youtube.com/@anzumaron)」はチャンネル登録者数27万人を超える。
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こうして密室で行われていた「占い鑑定」が、誰でも家にいながら疑似体験できるようになった。実際、動画のコメント欄には、それまで占いにまったく縁がなかった男性からの書き込みも多数ある。3択リーディング動画が「タロットで占われる体験」をした人の数を確実に増やしたことは間違いないだろう。
人ではなく、タロットに悩みを相談する
「より悩みに即した答えがほしい」と思うようになった人はカードに手を伸ばし、自分で占うようになっていく。
占いの王道と言えば、生年月日から割り出す西洋占星術や四柱推命が有名だが、専用アプリやある程度の知識がないと、自分で読み解くのはややハードルが高い。
それに対し、タロットは絵柄を見れば直感的に「こういう意味のカード」とわかる。さらに深く知りたければ入門書が1冊あれば、本を片手にすぐに自分で占うことができるようになる。タロットは、初心者にやさしい占いなのだ。