筒井康隆さん原作、長塚京三さん主演、吉田大八監督の映画「敵」。河合さんは仏文専攻の大学生を演じる。2025年1月17日(金)から公開 (c)1998 筒井康隆/新潮社 (c)2023 TEKINOMIKATA

 ネイサン・フィールダーが主演・脚本・監督を務め、エマ・ストーンと共演したコメディードラマ「The Curse」もハマりましたね。フィービー・ウォーラー=ブリッジ主演・脚本・製作の「Fleabag」も、性に奔放な女性のコメディードラマなんですけど、すごく面白くて。もとになった舞台の上映会が都内であったので、観に行ったくらいです。

 国内勢では、声で出演した「ルックバック」監督の押山清高さんが本当に素晴らしくて。劇場アニメでは珍しく、自ら多くの原画を描かれたそうなんです。自分が想像するようなアニメの質感と違ったし、映画界からの評価もすごくて。次の作品も楽しみです。

 空音央さんは初長編「HAPPYEND」を見て、ものすごく感動して。空さんが普段感じられていることや同世代の人の間に漂っているムードみたいなものを、自分の色ですごくかっこいい作品にされていて、その志とセンス両方に感銘を受けました。

 吉田大八さんの「敵」映画化に対する思いにも心を動かされました。原作は抽象的な部分もあるし、映像にするのは大変だったと思うんですけど、小説の雰囲気を汲み取りつつ、どこかポップさもあるエンターテインメントになっていて、ご一緒できて嬉しかったです。

 大田ステファニー歓人さんは、三島由紀夫賞の記者会見を見て知りました。ヒップホップとガザに対する思いが両立していて、こういう種類の人っているんだ!と嬉しくなりましたね。受賞作『みどりいせき』も面白すぎてびっくりしました。最初ギャル語みたいな語り口にとにかく驚いて、文体に慣れていくと物語にも引き込まれるし、唯一無二の小説を書く方だなと。

 柴田聡子さんは文章も書かれるし、坂口恭平さんも独自の見方で表現を追究していると感じます。こうして見ると、その人自身にオリジナルな色がある人ばかりですね。今後もいろんなジャンルを越境・横断して、才能を発揮する方に出会うのが楽しみです。

(構成/ライター・福アニー)

AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号