そのほかに春休みの旅行を意識して海外で撮ったものや、あえて季節とは関係ないものも選んで10枚をアップした。それだけでは終わらない。1枚ずつ写真にタイトルを付けて、「タグ」も記入する。タグとはその写真のキーワードである。買う人は好みの写真をキーワード検索して見つけるから、なるべくその検索に引っかかるような工夫が要る。参考にするのは、同じような写真で売れているもの。たとえば桜なら自分でそのキーワードを検索して、「販売回数順」をクリックすればいい。その写真が何回見られたかアクセス数も表示される。xiangtaoさんによると「1千回超えたら相当売れてる写真」という。その写真のタグを参考にしていこう。1枚につきタグは50個まで付けられるので、35個以上は付けたい。

 アップロードしてから販売OKかNG(NO GOOD=販売不可)の審査結果はだいたい7営業日内に知らされる。

 結果3枚がNGとされた。理由は「ドット抜け」「画像が不鮮明」「技術面、内容のいずれかもしくは両方について、ストック素材としての利用が難しいと判断されました」だった。

 とはいえ販売許可が出た7枚のアクセス数が少しずつ伸びていくのを見るのは楽しい。自信があった写真がそれほど伸びず、「え、それ興味ありますか」みたいなのが人気だったりする。でもすぐ売れることを期待してはいけない。ピクスタの統計によると、最初の1枚が売れ出すのは平均で92枚登録してからとか。

 ところがなんと、登録して2日目に1枚が売れた! それがベトナムで撮影したコーヒーカップの写真である。ピクスタが開催しているセミナー講師である、同社トップクリエイターのxiangtaさんに、

「旅行パンフとかに使われたんですかね」

 と尋ねると、

「今コーヒーブームですから」

 あ、そういえば「サードウェーブコーヒー」などブームが来ていた。

「それと2月3月は売れるんです。企業が広告予算を消化しようとするから」

 ちなみに1枚売れての収入は、クリエイターの実績や販売方法によって異なるが、初めての人は通常は販売代金の22 .0%である。私の最初の1枚は安く売っても構わない販売方式を選んだので、収入は27円だった。

 わずかな金額だが、自分の写真にお金を払う価値があると認めてもらえたようで、ちょっとうれしくなった。(取材・文/フリーライター・神田憲行)