「SHOCK」大千穐楽公演後のカーテンコールで、くす玉の紐を引くと、「光ちゃん お疲れ様でした!」の垂れ幕とともに大量の紙吹雪が降り注いだ。「思い残すことはもうなにもない」と清々しい笑顔の堂本光一(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 2000年に当時21歳の堂本光一が帝国劇場史上最年少座長として主演を務めて以来、24年にわたり続いてきた「SHOCK」シリーズ。11月29日の最終公演で、単独主演2128回という記録とともについにその幕を下ろした。AERA2024年12月16日号より。

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「究極体を演じるのが、つらい24年間でした。だって、究極じゃねぇんだもん、俺、全然(笑)」

 2000年の初演以来、毎年チケットを即日完売させてきたミュージカル「SHOCK」シリーズに最後の幕を下ろした堂本光一は、カーテンコールでそう笑った。「ステージに立つ人間としての究極体みたいなものを描いてきた」と語るこの作品で、「自分自身が役に負けないように」舞台に立ち続けた思いを明かす姿は、演じてきたエンターテイナーそのものであった。

 総公演数じつに2128回、国内演劇における代役なしの単独主演記録を塗り替え、計370万人もの観客を動員してきたSHOCK。「今年で幕を閉めようと思っています」と堂本の口から明かされたのは今年1月のことだ。現・帝国劇場が改装のため一時休館となることを受け、「25、26歳の設定(の役)で、いま45歳になって。いい時期なのかなと」、決断に至ったという。

 物語の舞台はショービジネスの中心地、ニューヨーク・ブロードウェイ。「Show Must Go On!」という言葉を胸に頂点を目指し続ける若きエンターテイナー・コウイチとそのカンパニーが運命を駆け抜けるなか、さまざまな感情がぶつかりあう。歌、ダンス、和太鼓、殺陣、22段もの階段落ちといった数々の名物演出によって表現される物語は観客を魅了するが、特に客席上空を舞うフライングは圧巻だ。24年経っても、衰えるどころかより美しさと力強さを増した姿から、堂本の努力、体力に驚かされる。

観客の心に生き続ける

 11月29日の大千穐楽公演は映画館でのライブビューイングも行われ、この作品を愛する全国7万人超のファンに見守られるなかで最後を迎えた。舞台からの景色をしっかりと噛みしめているように見えた堂本は、終演後の会見で、「帝劇が改装に入らなかったら、たぶん来年もやらせていただきたいと思っていた」と心のうちを吐露しながらも、「思い残すことはもうなにもないし、全部やりきった感もある」と清々しい顔で述べた。

 自身にとってSHOCKとは、と問われると「永遠であってほしい」と真剣な表情を見せた堂本。カーテンコールでも「みなさんの心のなかにあって、思い続けられる作品となってくれたら」と優しい笑顔で語っていた。

 公演名にも「Endless」「Eternal」とあるとおり、この舞台はこれからも人々の心に生き続けていくに違いない。(ライター・森岡星良)

AERA 2024年12月16日号