ラジオ番組内での芸人の発言をそのまま真に受けるのは無粋であるというのは百も承知である。だが、このときの川西の態度には、明らかに「芸人のノリ」を超えた不穏なものが感じられた。
 

水田と川西の間の違和感

「自分の主義主張を貫いて頑なにご祝儀を受け取らない」ということをネタとしてやるのであれば、もっと上手なやり方があったはずだ。このときの川西は明らかにそういう感じではなかった。

 これだけを聴いて2人が不仲であるとか、川西が水田を嫌っていたとか、そういったことを断定することはできないし、そうだったとも思っていない。ただ、何らかの違和感があったのは事実である。

 解散に際して、2人が自分の名前で公表した文章を読めば、タレント志向の水田と漫才に専念したい川西の間ですれ違いがあったことは何となく伝わってくる。このまま不本意な形で活動を続けるよりは、きっぱり解散してけじめをつける方が本人たちにとっては良かったのかもしれない。

 結局のところ、お笑いコンビの本当の関係性というのは本人たちにしかわからないものだ。お笑いの歴史に名を刻んだ偉大な漫才師「和牛」が活動を終えてしまうのは、一お笑いファンとして残念ではある。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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